クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

黒戸尾根のつらい登り~甲斐駒ヶ岳山行②

私はこれまで甲斐駒ヶ岳に6回登っている。うち5回は黒戸尾根から登っている。うち、4回は冬で1回は秋に登っている。

当然、冬に比べると夏山は格段に登りやすいはずだ。冬は岩場で足元が格段に悪くなる。

ところが、今回はこの登りで私は思いっきりバテてしまった。これまで、「あっ、もう刃渡りか」とか「もう五合目まで来たか」という具合で、ほとんど何も考えずに登っていた。

それが登山口の時点でもう汗だく。尾白川渓谷の水に飛び込みたい衝動を堪えて歩き出すものの、さらに1時間で背中はじっとり濡れてしまった。

登山道に入ると木陰なので多少マシにはなるが、暑いのは変わらない。何せ深田久弥が「日本アルプスで一番つらい登り」と評した登りなのだ。

暑くなると水を飲む。本当は身体にかけたいくらい。

歩きながら腹回りの肉をつまむと、なんか太った気がする。まあ、軽くつまめる程度なので、普通なんだろうけど、こうなると脂肪をまとっている分も暑さに加担しているように思えてくる。同時にもっと身体を絞らないとと反省する。

黒戸尾根名物、刃渡り

この日、上から下りて来る人はもっぱらトレイルランニングのスタイルの人たちだった。おそらく黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳を日帰りするのだろう。凄い人たちだ。

そう思っていたら、来るわ来るわでおそらく30人くらいいたのではないだろうか。世の中には凄い人がまだまだ溢れている。

40代くらいのトレランスタイルの女性が2人が刃渡り付近で、

「あれ何ていう山ですか?」

と言うので

鳳凰三山です。あの尖っているのが地蔵岳オベリスク

と教えると、「いや~、全然違うじゃない。恥ずかし。訊いてよかった」と騒いでいた。おそらく槍ヶ岳あたりと間違ったのだろう。こちらからすると、トレランスタイルで散歩のように山を登り下りしている方が驚きなのだ。

 

そんなわけでこの日は午後3時20分に七丈小屋に到着。

過去最短は午後2時30分。冬でも3時半に着いていたことを考えるとかなり衰えた。この日はテントを張って、6時には寝てしまった。

(つづく)