9月半ばから痛かった足がようやく治ったと思ったら今度は風邪をひいてしまった。最初は喉の入り口がヒリヒリしていたので、「危ないなあ」と感じていたら、徐々に奥が痛くなってきた。鏡で見ると赤くただれていて、いかにも危うい。
なんとか頭痛、発熱に発展する手前で食いとどめたい。
身体が資本のアスリートは体調不良でもスポーツ紙他で報道されことになっていて、種類分けをすると、「故障」、「怪我」、「病気」となる。怪我と病気は一般人も変わらない現象で、故障という表現だけがアスリート専用の用語といえる。倒錯した言い方をすると故障するのはアスリートたるゆえんともいえる。
一方で「怪我と故障は違う」と元選手の解説者などは言うのをよく聞く。怪我はアクシデント、故障はトレーニングや準備不足などの本人の責任だそうだ。
確か金本知憲だっただろうか。「怪我は本人が申告すれば怪我。申告しなければ怪我じゃない」と言っていた。
長い黒々としたもみあげで有名だった闘牙関が肩を怪我した時にテーピングを巻かなかったところ、親方に「痛みを見せない」と褒められたらしい。実はテーピングを剥がす時に背中の毛が抜けて痛いからしなかっただけというのが真相のようだが。
怪我も故障も素振りを見せないのがプロの仕事という風潮があって、時に恐ろしい我慢を強いられる傾向にある。
考えてみたら私も就職して以来、風邪で休んだことはなく、アクシデントによる休みが1日だけ。少々の病気なら休まないのはスポ根的な潜在意識が根強いているのかもしれない。
今回の私の故障は原因不明だった。9月半ばの日曜日にランニングをしたら、初めは左膝裏に少し違和感があった。5kmを過ぎるあたりから、わずかに痛みに変わり、10km手前で断念。
激痛ではなく疼痛というのだろうか、小さな痛みが断続的に続き、翌日はランニングを中止。翌々日に収まったので再開したら痛みがぶり返して、なかなか治らない。
10月にカナダを旅行した際も痛みが出たり引っ込んだりの一進一退を繰り返し、それでも意地で遊んで帰ってきた。
こんな痛みは初めてだし、12月にフルマラソンが控えているので焦る。
プロスポーツの本場、アメリカには「故障者リスト」というものがあり、MLB(Major League Baseball)では"Injured List"、NBA(National Basketball Association)では"Inactive Roster"、NFL(National Football League)では"Injury Reserve"と呼ぶ。InjuredやInjuryは「怪我」、Inactiveは「故障」と訳せそうだが、両者に大きな違いはないのだろう。
それにしても故障者リストという言葉は不思議だ。工場じゃないんだし。しかし、プロスポーツ選手にならなければ故障者リストに入れないのなら、そこに入るのもまたステータスなのだろう。
私の場合、故障者リスト入りか、それとも解雇か。誰にもスポーツでは雇われてないので、独り故障者リスト入りとしようか。
写真は先月のカナダ旅行の1枚。
キャンモアで足が痛いのに遊び欲に負けてバンフまでの20kmをサイクリングした。帰りは追い風で気持ち良く快走したものの、左膝の痛みは増して翌日は大雪の中で壊れたロボット歩きになってしまった。
今はようやく10kmまでは走れるようになったと思った矢先の風邪である。
さしあたって遊べる身体は維持したい。