「オリンピックはやるんかね?」
我が家ではスポーツはあまり見ない。テレビそのものを見ないのもあるが、2人の嗜好が違うことが大きい。相方はフィギュアスケートやバレエなどの芸術系。私はわりと陸上など単純な競技が好き。したがって、2人してテレビにかじりつくことはない。
しかし、オリンピックが身近に開催されるとなると話は違って、やるならやるでそれなりに興味がある。
世界一がやって来るのだ。
子どもの頃、速いの代名詞はカール・ルイスだった。
100m、200m、走り幅跳び、三段跳び。しなやかな身体のルイスの走りは素人目にも優雅でカッコよかった。身体にもフォームにも無駄がなく合理的。大学でスポーツ科学という講義を取ったことがある。授業は恐ろしく退屈だったが、改めてカール・ルイスはすごいということがわかった。
科学的にフォームを分析し、アスリートがそれに応えることができれば世界最速になれるという意味で、カール・ルイスは20世紀を象徴する「最速の人」だと言える。
21世紀に入って、速いの代名詞はウサイン・ボルトになった。
カール・ルイスとウサイン・ボルトを比較するのはナンセンスだが、合理的を追求しつくしたルイスに対して、ボルトは規格外というイメージ。
195cmという身長で、爆発的な後半の伸びを見せる。ボルトはもともと200m専門で、先天的に背骨が曲がっていることから、身体への負担が大きい100mを避けていたらしい。
その無理を押して、トレーニングを積んだことで、驚異的な世界記録を生み出したようだ。
東京オリンピック開催にはいまだ賛否がある。
正直、喧々諤々を繰り返す今の論調を見ていると賛成派にも反対派にも与したくない。
「こんな時だからこそスポーツで明るくしたい」というのと「こんな時にスポーツなんて」という感情的な意見の衝突に見えるのだ。日本人選手が活躍すれば「やってよかった」となるくらいのポリシーのない人が大半のように思える。
私は、やるならケチの付かない形で「世界一」を決めてほしいという、ふわっとした意見。単純に世界一を見せられる状況ならばやればいいし、できないのならやめればいい。