クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

個人的未踏ルート

世間一般がコロナ・コロナ・コロナで、自粛・自粛・自粛である。それ以前に仕事が忙しくて仕事・仕事・仕事の状態なので山に行くこともできない。

山に行けない腹いせに山岳マップを眺めていると、微妙に行ってないエリアがあるのに気づいた。「日本百名山制覇!」とかの旗印を掲げているわけではないので、隈なく日本の山々を渡り歩いていないのだが、縦走路の中にぽっかりと穴が開いているのは気になるところだ。

今回は「なぜか」行けていないルートを紹介したい。

 

北アルプス編】

西穂高岳~天狗のコル

一般登山者にとって、西穂高岳奥穂高岳は日本屈指の難ルートとされる。実際にはそれほど難しいわけではなく、とにかく岩が脆くて落石や浮石に注意というくらいではあるものの、あまり気安く行けるところではない。

4年ほど前にそのルートに挑戦しようと決意した。ようやく勝ち取ったお盆休みを使って上高地に下り立ったわけだが、天気予報は1日目と2日目の午前中まで晴れ。そこからグングン悪化していくというものだった。

当初の計画では1日目に槍ヶ岳近くのテント場に行き、2日目に大キレット、3日目に奥穂高岳から西穂高岳へという予定が、どこかを割愛せざるを得なくなった。結局大キレットに行くために西穂高岳奥穂高岳間を省略することにした。

1日目に上高地から岳沢経由で天狗のコルへ。天狗のコルは天狗の頭とジャンダルムの間にある落ち込みで、西穂と奥穂のちょうど中間点にあたる。ガレ場をガリガリ登ってコルに着いたのは上高地到着からわずか4時間ほどで、いきなり1500mも標高を上げたので頭がクラクラした。

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岳沢から天狗のコルに向かうザレ場

結局、予定通りジャンダルムに登頂し、大キレットを渡って、3日目雨の中を再び上高地へ下山したのだが、微妙な空白地帯を残してしまった。西穂から天狗のコル間の微妙な区間を行く計画はまだ立っていない。

 

②不帰キレット

名前がなんとも魅力的である。漢文調で、山好きでないと読めない。

不帰の近くにある八峰キレットには3年ほど前に行った。1泊2日で扇沢から鹿島槍ヶ岳キレット小屋泊で、五竜岳から遠見尾根を下山。2年前には白馬岳から2日不帰の入り口まで行ったものの、雨で断念。よって唐松岳を含めて空白地帯となってしまった。

写真は五竜岳から白馬岳方面を写したもので、多分雲のかかっているあたりが不帰なのだろう。

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今の野望は八峰キレットから不帰キレットをつないで、白馬岳から栂海新道で親不知に抜ける一本道コース。

何日かかるだろうか。そんな休み取れるかな。というかそんな体力があるだろうか。

 

南アルプス編】

仙丈ヶ岳~三峰山

 南アルプスではよく縦走登山をした。山がどーんと大きいので、縦走しがいがある。

北岳間ノ岳農鳥岳の白根三山縦走。鳳凰三山から甲斐駒ヶ岳につながる早川尾根。黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳を経て北沢峠。悪沢岳から赤石岳までの反時計回り縦走。塩見岳間ノ岳北岳を1泊2日縦走など。

そんな中で微妙に残したのが仙丈ヶ岳から三峰山までのルート。仙丈ヶ岳は夏と冬に一度ずつピストンしている。去年、三伏峠から塩見岳間ノ岳北岳を縦走した。仙塩尾根の中ででこの区間が残っている。

去年、三伏峠から塩見岳に登り、2日目に三峰山の分岐で一度立ち止まった。そこから直進すれば間ノ岳に向かい、左に折れれば仙丈ヶ岳につながる。稜線は3000m近くから一度2500mくらいまで落ち込んでいて、再び仙丈ヶ岳が3000mを越す高さに立っている。その稜線に立ち入れば、仙丈ヶ岳を越えて北沢峠に向かうか、途中で野呂川沿いに立つ両俣小屋に下りるしかない。ただ、仙塩尾根を辿るのに、「仙」の字を入れたい。

さんざん迷って、間ノ岳を目指すことにした。すでに前日は3時間睡眠で12時間近く行動していて、疲れたということもあるし、翌日が悪天候になるという予報もあった。結果的には翌日も晴れたみたいなので、少し後悔している。

山はいつでも行けるものではない。

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三伏峠荒川岳赤石岳~兎岳

 南アルプスの南部は特に行きづらいところだ。バスは7月から9月くらいまでしか運航しておらず、しずてつジャストラインか毎日アルペン号を使うくらいしかない。しずてつに至っては7月と8月しか運航していないので、うっかりすると下山してから帰ることができなくなる危険性がある。おまけに相手は山なので、縦走を計画しても首尾よく予定の場所に抜けられるかもわからないのだ。

初の南アルプス南部は、椹島ロッジから千枚小屋経由で悪沢岳赤石岳に登り、赤石小屋に泊まり、再び椹島に下りた縦走で、梅雨の終わりの悪天候を何とか縫って登頂できた。

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大きな山塊、赤石岳

2度目は聖平小屋を通り抜けて聖岳に登り、兎岳避難小屋に泊まった。そこから赤石岳まで縦走するつもりが、悪天候のため諦めて下山。ずぶ濡れになってしまった。兎岳避難小屋では同じ目論見のお兄さんがいて、その人は雨の中を飛び出して行き、赤石岳上小屋に行けたそうだ。何も見えないような状態だったらしく、楽しくもなさそうだったが、行けたとなるとなんだか羨ましい。私はこの区間がいまだ未踏である。

三伏峠から荒川岳間も未踏となっている。今度は一本につなげて光岳まで行けたらと思っているものの、果たしてこれから行けるだろうか。

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何も見えない兎岳

さてさて、今年はどこに行こうかな。

野田知佑さんの言葉「いつでも遊びに励め。人生には締切があるのだ」