クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

登山ファッションショー

日帰りで山梨の雁ヶ腹摺山に行ってきた。

軽い山歩きのつもりがわりとハードな登山になってしまったのだが、それはまた別に書きたい。なぜハードになってしまったかは明らかで、一緒に行った女性の友人と2人で話に夢中になってルートを間違えたからである。

その友人は今のところ、登山・沢登り・マラソン・旅行・美味しいご飯とスイーツが人生の大半を占めており、私も大いに肯ずるところだ。そうなると普通の女子が好きなファッションについての話題も山ウェアが中心となっていて、経済力の範囲でどれがファッショナブルかつ機能的なウェアかについてしゃべりながら歩いた。

 

「それにしても日本メーカーの色はなんであんなの選ぶんかな!」

 日本のアウトドアブランドと言えば、モンベル・ファイントラック・フェニックスなんかを指す。どれも性能としては優秀なのに、色の選択肢が不思議だ。男性物は赤・青・黄色の原色が多いのに対して女性物は少し原色から外した色が大半だ。

特にモンベルはここのところくすんだ紫、ラズベリー色に凝っているのか定番レインウェアのストームクルーザー(ウィメンズ)のトップをこの色が飾っている。これはクラレットという色らしい。PCで「くられっと」を変換しても出ない(片仮名にならない)のだから、人口に膾炙した言葉ではない。よく言えば落ち着いた赤なんだけど、ちょっとオバサマ色だ。山を元気に歩こうというのだからもうちょっと若々しい色でもいいのではと思う。

ファイントラックはちょっと落ち着いたピンクというのだろうか。ピンクという桃色と言った方が適当な色がトップ。説明ではピオニーレッドと書いてある。これまた言葉で聞くと想像ができない。色は水彩絵の具のピンクといった感じで、ちょっと子どもっぽい気もする。

かくの如くで山ウェアにだけはうるさい私たちは喧々諤々を繰り返しているうちに実線コース(一般登山ルート)から破線ルート(荒れたルート)に入り、果ては地図上には描かれていないバリエーションルートに入り込んでしまい、四つん這いトラバースや灌木漕ぎ、稜線までの登り返しを繰り返して何とか上和田という集落に下山した。

 

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逆光とウェアの色で真っ黒に見える


その友人の山ウェアは無難な黒を選ぶことが多く、山中では肩幅の広さもあって俯いていると男に間違われるらしい。今回もモンベルのエクセロフトという化繊綿を使った黒一色のジャケットを着ていた。そういえば6年前に一緒に行った霞沢岳ではファイントラックの黒いレインウェアを着ていたし、私が言うのもなんだが、カッコいい登山者ではあるもののスタイリッシュにはなかなかなれていない。

「あの向かいの女の子が着てるダウンジャケットの色ええなぁ」

疲れ果てて山から帰る電車の中、向かいに座って本を広げている10歳くらいの女の子は淡いグレーとブルーの中間色のようなパタゴニアのダウンを着ている。子ども用だけど多分2万円以上するだろう。私なんぞはアウトレットセールで掘り出し物がないかを細かく探している。

結局、金に糸目を付けぬ方がファッショナブルになるのは山でも街でも関係ないようだ。