クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

テント場の予約制について考えてみた

北八ヶ岳に行った際、当初は白駒池のテント場に泊まるつもりでいた。

ところが受付にある貼り紙を見ると「キャンプは予約制」とあり、スタッフのお兄さんに訊いてみても、「予約のない方はお断りしています」という非情の宣告。

仕方がないので、最も近い幕営地として高見石小屋を目指した。

 

新型コロナウイルスがあらゆるビジネスに影響を及ぼすなか、山小屋もいたるところで営業休止や規模縮小を余儀なくされている。

特に南アルプス甲府~広河原のバスが運休。南部の畑薙ダムに入るバスも閉ざされ、マイカーを持たない人間は入ることができなくなった。あとは路線バスを使って道の駅はくしゅうから黒戸尾根を使って甲斐駒ヶ岳に登るのが唯一の入山コースであるが、七丈小屋も山小屋、テントともに人数制限を行っている。

 

この予約制、人数制限というのが従来ないシステムである。

「本日満員!」と宣言されても来ちゃったらどうしようもない。今回私たちが断られた白駒池などはバス停からわずか数分の所なので、1時間ほどで高見石小屋に行けたし、いざとなったら下山もできるのだが、ここが2200mとか2400mとかになるとそうもいかない。A小屋を目指してB小屋でギブアップということもあるだろう。

緊急の場合は小屋も甘受するのだろうが、街中の四角四面を山に持ち込むのは若干無理がある。

 

完全予約制を謳う山小屋は多い。スペースも限られるし、布団も限られる。病院と一緒である。

テント場も限られはする。ただ、今回のコロナ騒動で、テント場においてクラスター感染が発生するかといえば少し疑問が残る。なにしろ外気の舞う屋外なのだ。

小屋側の言い分はわかる。トイレ、水場などの場所は混む時期になると人の距離が近くなる。

 

しかし、うーんと考えてしまう。山の冷気、風が登山者同士を近づける効果になっていて、それも登山の魅力なのだ。

私の仕事以外の友達は大半山つながりで、相方とも山で会った。山がつなげる縁に助けられて生きてきたのだ。

それに「人と人との距離を取りましょう」ということとテント場の制限は同じベクトルとなっているか疑問に思う。私は混めばあまり他の登山者と話さない。こじんまりとすればわりと話す機会が増える。そうなると登山者が少ない方が感染リスクが高い気もする。

 

山小屋としては苦渋の決断だろう。

山小屋の宿泊を制限すればテントが増えるだろうし、テント場でも感染リスクがある。ただ、山そのものがリスクの塊のような中で、ガチガチの感染リスク排除にはどうしても違和感を覚えてしまう。

もっとも、この考えも身勝手な一登山者の意見ではあるのだが。

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冬の七丈小屋テント場