クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

紅葉と雪と泥の谷川岳馬蹄型縦走

晴天が期待できた週末に谷川岳馬蹄型縦走に出かけた。

土合駅から白毛門、朝日岳に登り、清水峠で折り返して蓬峠で一泊。翌日、武能岳、茂倉岳、一ノ倉岳、谷川岳を越えて西黒尾根を下った。

今回はちょっと写真多めでお送りしたい。

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紅葉真っ盛り

一ノ倉や谷川岳の紅葉は10月の下旬が見ごろとなる。

だいたい標高は1200m前後が紅葉真っ盛りで、あたりは腐葉土の臭いで満ちていた。

ぽかぽか陽気で平和。

白毛門までやけに人が多くて驚いた。紅葉を見て、適当に切り上げて帰るのにはちょうどよい距離なのだろう。

いろいろ書こうと思ったけど止めた。単にきれいなのである。

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ほとんど無人化した道

朝日岳を越えると途端に人気が去る。雲行きも怪しくなってきた。

朝から谷川岳にかかっていた怪しい雲が周辺の山全部にかかり、稜線の笹をパラパラとたたき始める。最初は何のことかわからなかったが雪というか霰。晴れ予報は何だったのだろう。

それでも午後5時に蓬峠に到着。

霰は雪に、雪は雨に変わって、手がかじかむ。テントを張ると中に倒れこんだ。

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一気に雪山に

馬蹄型縦走は、文字通り馬の蹄の形をした、わかりやすく言えばUの字を逆さにした形の登山コースを指す。

土合から北上し、清水峠あたりが折り返しになっている。登山地図のコースタイムを足し合わせると17時間くらいで、普通なら2泊3日。トレイルランナーなら1日だが、それでも日の昇る前には登山口を出発しなくてはならない。

しかも、私は2日目の午前中に下山しようとしていた。無理をしなければ清水峠の避難小屋泊が無難だったし、雨にも降られることはなかったはずだった。

 

 

翌朝、雨は止んだものの曇天。稜線は風が強く、身体が振られる。

初日に手袋が濡れたので素手で行く。雪の付いた岩が多く、岩場が辛い。おまけに足場は泥まみれである。ぬかるんでいる上に凍っている。

登山靴は北海道に行ったあたりから防水性を失っているらしく、初日から浸水していた。とにかく手も足も寒いので急ぐしかない。

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泥と氷のトレース

 雪と泥と霧。三位一体というか三重苦である。

はやけに整備されていて、トレースを外れることはない。道は踏まれ過ぎたせいなのか、雨の後はドロドロになりやすいのが難ではある。

 

すれ違うのは縦走登山者ではなくトレイルランナーばかり。

アップダウンは最大で500mくらいだからちょうどいいトレーニングになるのだろう。

ただ、この雪道を短パンというのはちょっと舐めすぎじゃないかと。怪我したらビバークもできない。

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頂上の去り際に晴れる谷川岳



茂倉岳も、谷川岳も全部霧だった。

何も見えやしないのでとっとと下山。ところが西黒尾根に入るや霧が晴れていく。

こんなものなのか。こんなものだろう。

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西黒尾根の岩場



 

2020年は10月現在で谷川岳ロープウェイが休止状態だ。

紅葉狩りに行くには歩いて登るしかない。西黒尾根は例年そうなのか、今年が特になのかわからないが、登山者が多かった。

「頂上行ってきた?上は風強い?」

何人にも聞かれる。10時くらいに登り始めたと思われるパーティーもいるが大丈夫だろうか。

西黒尾根の上部は岩場が多いのでなかなかスリリングだ。冬ならなかなかの難所になりそう。

ただ、私の中の登山は谷川岳の頂上で終わっていた。