給付金10万円の話が麻生財務相の発言で再び話題になっている。
と書いてみたが、私に経済的な見識があるわけでも政治的信念も持ち合わせていない。
「お金に困っている方の数は少ない」と言ったとか言わないとか。発言の切り取り方の問題があるので、むやみに非難も擁護もできないが、この部分だけ見れば批判を受けることは明らか。物議を醸すようにわざと言ったのかとも勘ぐってしまう。
それはともかくお金をもらうことについて、ふと思い出したことを書いてみたい。
「ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー」という番組があった。
何を唐突なという感じがするだろう。視聴者がいろいろなゲームに挑戦して、できたら番組から100万円もらえるという単純な構成で、当時の小学生には非常に人気があった。
小学生にとって100万円というのは天文学的数字である。
ゲームの内容は「回転寿司の早食い」とか「謎の剣道家と戦って勝つ」なんかの他、「落ちてきた紙切れを箸で取る」みたいな誰でもできそうなものもあった。誰でもできそうだから「俺でも100万円!」と少年たち(少女たちも)は憧れを抱くのだった。
大人たちにとっても100万円は高額に違いない。
視聴者は挑戦前に100万円もらったら何をするかをアナウンサーが発表する。これが楽しい。
「海外旅行に行く」
「マイホームの頭金にする」
「みんなで高級焼肉を食べに行く」
思い思いのことを収録前に述べているようだが、子どもが「貯金する」とコメントしていると笑いが起きる。なんて現実的、夢のない子どもかと。
しかしながら、焼肉くらいでは100万円使いきれまい。高級ホテルでも家族4人くらいで100万にはとうてい及ばない。1人15000円くらいのコースを食べて計6万円が相場だろう。
結局100万円もらった家族は全部使いきったのだろうか?
それでは10万円もらうとどうなるか。それが今回の給付金である。
正確には1人10万円だから4人なら40万円。人にもよるけど0.5から1.5ヶ月分くらいの給料。
贅沢するには大きすぎる。投資するには小さすぎる。要するに夢の100万円に比べて現実味が在りすぎて少し持て余してしまう金額である。
それに目下のコロナ騒動で外食も旅行も控えよとお達しが出ているのだから何に使えばいいのか。しかも使う心配より今後の稼ぎの心配をする以上は「10万円もらったら貯金する」となるのは自明のように思われる。
結局、私は給付金をどう使ったか。
コロナの禁を破って夏に北海道を旅行した。非常に楽しかったのであるが、給付金をもらったから行ったのか、もらわなくても行ったのか。
給付金とは無関係に行ったに違いない。