クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

都会生活に疲れたら読みたくなる本

どうも疲れている。

週末の谷川岳のせいではない。登山ではとにかく前に進んでいる実感があるのだが、仕事なんかでは「動く歩道」を逆走しているような感覚に時折襲われて、ひどく疲れた気がすることがある。

 

そんな時によく手に取る本のご紹介。

野田知佑『旅へ』

前にも書いた気がする。

野田さんの青春放浪記。大学を卒業したものの、何をしていいかわからず、かと言っておとなしく就職もしたくないといういわゆる「ニート」だった青年が、自分を変えようとヨーロッパに旅立つ。

 

「こんなことでいいのか?」

と悩んでいるときに、野田さんが

「悩んでいいんだよ!」

と言ってくれているような気がする。

 

「悩むより行動だ!」

というガテン系、スポ魂主義の好きな人が多くいて困ってしまう。悩むだけでは前に進まないのは事実だが、真剣に悩むことも人生の中では必要なのである。

野田さんの著作の中で一番好きな本。

books.bunshun.jp

 

yachanman.hatenablog.com

 ②奥田英朗『延長戦に入りました』

これは「ガハハハッ」の本。

奥田英朗がスポーツにまつわるエッセイを書いている。

 

スポーツ、時にプロであったりオリンピック選手ともなれば人生を賭けて臨んでいる。ただ、真剣になればなるほど生まれる諧謔をうまく表現している。

「サッカーのPKは野球で言えばホームラン競争じゃないか。あんなジャンケンみたいな勝負の決め方はおかしい」

なんてなるほどなあと思う。

ただ、可笑しいのは当事者は真剣そのものだから余計に可笑しいのだ。何かに悩んだ時は他人事のように笑ってみるのもいいかもしれない。

www.gentosha.co.jp

夏目漱石吾輩は猫である

なんでこんな本をと思われるかもしれない。

しかし、諧謔とユーモアの元祖と言えばこの本なのである。

ちょっと前に朝日新聞で連載していたが、この本をどのくらいの人が理解しているだろうか。実は言葉の背景や偉人たちの言葉を理解しようとすると相当な教養が必要になる。したがって、私は注釈のいっぱい付いた子ども向けで読んでいる。

 

実はこの本を書いた時期は漱石にとっても人生の危機の時代で、「探偵につけられている」などの妄想を抱いていたらしい。作中にも「探偵」という言葉が頻繁に出てくる。

そんな漱石先生は自らを笑い飛ばそうと、その知性を使って書いたのがこの著作である。猫に仮託することで人間を笑い飛ばそうとしている書きっぷりが随所に現れる。

笑いつつも時折冷静な視線を取り戻すのに最適の書だと思う。

bookclub.kodansha.co.jp

紹介してはみたものの、ここのところ平日は忙しすぎて読む時間すらない。

これはもっと深刻な悩みになっている。