ここのところ山でヘルメットをかぶっている人が多い。
穂高岳や槍ヶ岳といった岩がもろくて落石の多い地帯だけでなく、北岳のようなエリアでもかぶっている人を見かける。雑誌や登山口での呼びかけ、ポスターなどの効果がかなりあったものと見られる。
もはや「ヘルメットをかぶっていたら助かったのに」という状況は許されないという感じがある。
それではどんなヘルメットがいいかと言うと、「どれでもいい」ということになる。
市販されている登山用ヘルメットは耐久性の基準を満たしているのでどれを選んでもシッカリかぶれば効果は同じなのである。それでは何の役にも立たない記事になるので、ちょっとポイントを考えてみた。
①頭の形状に合う
日本人には顔というか頭がデカいという人が多い。昔から不思議である。ヨーロッパ人はなんで身体は大きいのに頭は小さいのだろう。
文句を言っても仕方がない。今はヘルメットの話。自分の頭の形状に合うヘルメットを選ぶしかない。
マムートのヘルメットを店で試したら、超絶小さかった。鉢の上に乗るという具合で、貴族の烏帽子みたいな状態になる。さすがスイスブランド。小顔向けなのである。
日本人的顔デカの私が使っているのはグリベルのサラマンダー。今のモデルの中では少々重いが、頑丈で頭の形状に合う。
登山靴にしてもそうだが、身体に合うかどうかが最低限の条件となる。
②頑丈
ヘルメットは丈夫でないといけない。そんな断りを入れるのは、山の友達が山小屋でヘルメットを壊されたという話を聞いたから。
濡れたので乾燥させていたら、落として割れたらしい。ここでどこのメーカーのものかは言及しないが、転倒したら頭ごと割れそうで怖い。
ヘルメットの耐久性はあくまで新品時にしか保証されない。これはどんなクライミング用品でも同じである。
ただ、なかなか買い替えないのがヘルメット。私のサラマンダーは買ってから8年くらい(そんなに経ったのか)。細かい傷だらけだが、本体は大丈夫。頭を覆うプラスチック部分は一部ちぎれている。
とにかく頭を守るのが最大目的だから、落としたくらいで割れてもらったら困るのである。
③軽い
「ヘルメットといえば昔はガリビエールですよね」
七丈小屋でこう話す50代の男性に会った。実物は写真でしか見たことはないが、工事用ヘルメットみたいだ。当時は最も「ナウい」おフランス製ヘルメットだったらしい。
当然と言えば当然だが当時のヘルメットは重い。私のサラマンダーも旧モデルなので300gくらいあって重い。
重いと見上げるのが辛いし、頭が痛くなるし、何より持って行くか迷ったときに「やっぱ止めよう」となってしまう。
ヘルメットは軽くてカッコイイのでないと使いにくい。
今、ペツルのシロッコは表面に固いシェルのない発泡スチロールみたいな素材で作られていて、なんと200g切り。これで強度を保っているというから恐るべしペツルである。
もうちょっとデザインがカッコ良くなれば次はこれかなと思っている。
冒頭の写真は冬の西穂高岳に三人で行ったときのもの。
左からブラックダイヤモンド、グリベル、ペツルと三者三様となった。いずれもカッコよくかぶり、カッコよく登って下りてきた。
そのつもりだ。
いつまでもヘルメットの似合うカッコいい登山者でいたい。