菅首相のステーキ会食が批判を受けている。
ただ、私は会食の可否よりもどんなステーキが出てきたのかが気になっている。1人5万円とかと報道されていた。どこの牛なのだろう。
こういう報道の中で必ず1人いくらと報じられるのは、批判を煽るためである。首相が何を食べようが本来知ったことではないのだが、
「5万円もするステーキ食いやがって」
というやっかみを生まれるわけで、実に食べ物の恨みは怖い。
今年は例年にも増して外食が少なくなった。コロナの影響と個人的に仕事が忙しかったからだ。
お家ご飯では丼が便利なのでよく食べた。そこで、今年の丼ランキングを勝手に始めたい。
3位 中トロ丼
去年引っ越して内陸になってしまった。山には行きやすいものの魚が美味しくない。
そう嘆いていたら駅前のクイーンズ伊勢丹の隣に魚屋さんができて重宝している。そこで初めて買ったのがこちら。中トロ君である。
有名な話だが、江戸時代にトロは重宝されなかった。赤身だけ食べて脂の多い部分は捨てられていたらしい。
それが戦後の洋食化の中で食の嗜好が変わり、珍重されるようになったとか。
いずれにしても美味かった。ただ、マグロ資源が枯渇しているという現状を考えると喜んで食べている場合ではないのかもしれない。しかし美味い。
今やトロは罪悪感を覚える食べ物となっている。
2位 イワシ丼
マグロの対極。江戸時代で言う下魚である。大量に獲れると肥料にして金肥として売られていたというから恐ろしい。
近年は不良の年も多く、高級魚になったりしている。
脂の乗った身はある意味で中トロより好きである。
ただ、足が早いのでなかなか食べられない「高級品」である。
今年はサンマが高騰して1匹くらいしか食べられなかった。来年はサンマ丼にしてワシワシと食べたい。
1位 ウニ丼
外食できないからお家ご飯でとか書いておいてなんだが、1位はこれにしてしまった。
ウニ丼1杯4000円也。
『吾輩は猫である』の中で天道公平の手紙に「海鼠を最初に食した者は日蓮の生まれ変わり」だとかいう文言があった。天道公平君こと立町老梅君は巣鴨に収容されている精神病患者ということなっているが、確かにナマコを食した人はすごい。
それと同時にウニを食った人もすごいと感じるのは私だけではないだろう。
ウニと言えば北海道。今年の8月に利尻の漁師さんからウニをもらって食べた。
割ったウニを見るととろろ昆布みたいなものが混じっていて何の異物かと思ったら昆布である。つまり利尻昆布で育ったウニなのだ。
ウニの末路としては憐れだが、美味いものを食って育ち、美味しく頂戴される。まあ正しい食物連鎖である。
「申し訳ない。申し訳ない。でも美味い」
「今年は大変な年だった」というのが毎年の振り返りに出てくる。地震然り、台風然り、疫病然り。
ただ、美味いものを食って暮らしているうちはとにかく幸せだ。