クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

南の食の探訪~屋久島放浪記④

旅と言えばグルメという人がいる。グルメとか美食とか言うと、どうも安直な享楽主義のようで嫌なのだが、我々も食い意地は張っているのでできれば美味いものを食べたい。山中3日で、アルファ米やソフトクッキー、歌舞伎揚げをボリボリやっているだけなので、下山したら魚か肉が食べたかった。

では屋久島と言えば何か。

・飛び魚

・首折れ鯖

・タンカン

である。

宮之浦の民宿に投宿した我々はスーパーで明日の朝食の買い出しをしてから、「潮騒」という食事処に入った。

 

この店、4年前にも来ている。

当時泊まったゲストハウスでは観光客向けと聞いていたが、料理は質・とも申し分なかった。今回は2人とも腹が減ったので、首折れ鯖定食と揚げ飛び魚定食、鰹の酒盗を頼む。

「首折れ鯖」とは首を折って〆た鯖である。魚のクビとはどこかわからないが、エラのあたりだろう。〆てすぐに血抜きをするので鮮度が保たれる。

首折れ鯖定食は1800円。高いようだが、都内であまり美味くない刺し盛を食べるよりよほどいい。とにかく身が肉厚プリプリ、という安易な表現しかできないのが残念なのだが、弾力とにじみ出る旨味がけた違いなのだ。こってりとしたブリやマグロのトロとは違ったさらりとした脂と締まった身。

一緒についてくる粗汁も美味い。

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屋久島のもう一つの名物は飛び魚。

飛び魚は巨大なヒレで水上を飛ぶ魚なわけだが、水上を滑空するためのヒレごとカリっと揚がっている。比較的淡泊な魚なので、揚げた方が美味しいというのが持論。

素材そのものを楽しみたいなら焼きでもいい。

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いずれもタンカンがレモン替わりに付いてくる。屋久島は東西南北で黒潮親潮の影響で気候が違い、南は年中ハイビスカスが咲くくらい温暖らしい。タンカンもその産物である、とタクシー運転手の杉さんから聞いた。

というわけで全部の料理にタンカンが付く。酒盗にも付いてきた。塩辛い酒盗にタンカンをかけると少しマイルドになる。

去年は北海道でウニ丼やらホタテ、海鮮丼を堪能したが、南の海もなかなかやるのである。

 

隣のテーブルの男女がエビフライ定食と焼き肉定食を頼んでいる。他人の注文にケチをつけるわけにもいかないけど、「なんでやねん!」である。そういや4年前に来たときもトンカツ定食を頼んでいる中国人の女の子がいて「なんでやねん!」と思った記憶がある。

ビール2本と定食2つ。息つく間もなく食べると入店から45分で完食してしまった。

 

食事の時はビールを飲んだが、屋久島と言えば焼酎「三岳」。

芋焼酎で、芋と思えないくらいスッキリした飲み口。民宿の部屋で少し飲んだら登山の疲れもあってあっという間に気を失ってしまった。