年の瀬である。
「瀬」とは激しい流れを指す。年の激流とは何かと言えば、借金取り、債権回収である。江戸時代は大晦日に借金を清算してたらしい。年をまたぐと借金はチャラ。
借金する側も回収する側も斬るか斬られるか。真剣勝負なのである。
今年の勝負と言えばコロナである。
「勝負の◯◯日」とか、何と勝負しているのかわからんけど、そうやって煽りを付けないと無策と非難を浴びるので、何かとスローガンとして掲げられた。
実際のところ、「このゴールデンウィークはおとなしく」、「このお盆は帰省を控えて」、「この年末年始は帰省を控えて」と、何もするなという指示だから仕方ない。
対策がない以上はブリザードが去るまで雪洞ビバークで過ごすのと同じである。ただ待つしかない。
しかし、まあ親戚、特に祖父母などと会うのも差し控えていると、いつ会えるかわからない。今年相方の祖母が亡くなってしみじみ思った。
私なんかは一度しか会ったことがないのだが、初めて会った時には「二度目はあるだろうか」という思いがあった。そしてその通り夏には旅立ってしまった。
今は会える時に会い、行きたい時に行き、登れる時に登るべきだと思っている。
人生には〆切があるのだ。
年の瀬を過ぎたら借金がなくなるように、年をまたいだらコロナが消えていた、とはならないだろうか。