クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

クランポンとアイゼン、バックパックとザック

この冬はまだクランポンを使っていない。

クランポンは英語、ドイツ語ならシュタイク・アイゼン。雪山をやらない人はわからないだろうけど、氷の上を歩くためのスパイクである。

ついでにアックスも使っていない。

こちらは英語。ドイツ語ならピッケルで、フランス語はピオレ。

日本の山道具の呼称には英語とドイツ語が混じっている。

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今年はまだ未使用のクランポン・アイゼン

 医療用語でもかつてはドイツ語が多かったらしい。

これは明治期に入って、近代化を進める日本がドイツから軍事と医療を学んだためである。では登山はどうかというと、別に組織的にドイツを模倣しようとしたわけではなく、昭和初期に日本の山岳史が勃興しようという時期にドイツの登攀技術が世界をリードしたためと考えられる。当時、ヨーロッパアルプスの三大北壁に果敢に挑戦していたのはドイツ人だ。

確かに一般名詞としても使う「ロープ」ではなく、登山用品では「ザイル」と呼ぶことが多い。

 

しかし、ドイツ語由来と英語由来では扱いが若干違うことが多い。

先に書いたアイゼンは英語では"iron"つまり鉄のこと。シュラフは寝袋を指すけど、「寝る」の意味。英語ほど詳しい人が少ないので、間違うと間違いっぱなしになるのだ。

それにピッケルワークとか、ザイルテクニックなどドイツ語・英語混合が登場したりで組合せ自由。まあわかればいいのだ。

「ドイツ」という言葉だって、オランダ語が元だという説もある。ここまで来るとラフさがかえって面白い。

 

ザックというのはドイツ語だ。英語ではバックパック

ところがバックパッカーと言うと日本では貧乏旅行者を指すイメージがあるが、アメリカでは単に長距離ハイカー。純粋にアウトドア用語となる。

石井スポーツに行くと「ザック。ざっくり選んでませんか?」と書いてあったりして、やっぱり登山はザックなのである。

ただ、これはまあ日本特有だろう。韓国人の友人はバックパッククランポンと言っていた。彼は日本語が日本人より堪能なので、両方わかるけど。

それはともかく早いところクランポンでもアイゼンでも使いたい。