クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

コロナワクチンとケインズ経済学

去年はコロナ感染者の数が連日話題に上っていたが、今はワクチン接種が話題になっている。インフルエンザと同じで、接種によるリスクや接種してもかかる可能性はあるが、かかった時の症状はある程度軽減できる、とさる科学者が言っていたらしい(医師ではない)。

まあ、インフルエンザの予防接種も毎年やらずにかかっていないので、焦らず騒がず待つしかない。

 

今、ニコラス・ワプショット『ケインズハイエクか』を読んでいる。

 

 

ケインズは言わずと知れたケインズ経済学の始祖。不況時には公共投資と金融緩和によって、雇用とインフレを生み出し、経済を活性化せよと唱えた。これを金科玉条として公共投資を推進する政治家は今も多くいる。

一方で、ハイエクはあまり知られていないオーストリア派の経済学者で、自由主義経済を推奨している。簡単に言うと不況は人為的に解決できないのだから、公共投資や金融政策をすれば余計に症状が悪化するというわけだ。

コロナ対策というわけで、去年からボンボン経済対策が打たれているのは、ケインズ主義に基づくものである。

 

今の日本の社会科の教科書を見る限りこの論争はケインズの勝利に終わっている。

どちらが正しいではなく、少なくとも日本の不況はマクロ経済学による公共投資によって解決しようとされてきた。一方で、ケインズの母国であるイギリスはサッチャー政権時に小さい政府への変換と民間企業の自立を促している。

今回、コロナ対策で「やはり大きな政府じゃないとワクチンも確保できない」となるのだろうか。「結局、政府の経済介入は役に立たない」となるのだろうか。

2つの経済理論の分岐点が再び巡っているような気がする。