クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

万能ナイフと子どもの教育

相方はここ10年くらい教育関係の仕事をしている。もともとひょんなことから「先生」と呼ばれる仕事に就いたのだが、今やこれしかないというのだから人生わからない。

今、目下の悩みは親がいろいろ子に期待して指示することだという。

 

親は子どもに無限の可能性があると信じている。

それは真実でもある。末は医者か総理大臣か。何になるかはわからない。

そこでバイリンガルで、学力が高くて音楽ができてと、いろいろ提示するのだが、素直な子ほどすべてをこなそうとして中途半端になる。

特にバイリンガル教育は、中途半端になると読解力に影響して、その結果他の分野もできなくなるらしい。文章題などは算数ではなく読解力野問題だったりするからだ。

その様子を見るにつけて相方はフクザツな気持ちになるらしい。

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将棋の船江六段が公認会計士試験に合格したというニュースを見た。すごい話である。まあ将棋も論理パズルのゲームということを考えると会計と似ているのかもしれない。

また、ずっと話題になっているが、大谷翔平が今年は打って、投げて、走って活躍している。二刀流という言葉どころか三刀流。

「万能」に世の人は憧れる。人の親は我が子には万能になってほしいと考えるのだろう。

 

万能ナイフなどの多機能な製品を使うとわかることがある。どれも中途半端なのだ。

有名なビクトリノックスも魚を捌いたり、ロープを切るには力不足。ちっこいハサミなんかは便利なんだけど、衣類を切るとなると不便。いざという時の1本だから持っては行くが、普段使いできる機能ではない。

 

話は急に変わるが、探検家の関野吉晴さんは大学時代に探検部に在籍し、卒業後に医学部に再入学。今は探検家で医師で文化人類学者となっている。

しかし、関野さんは探検部で僻地に行くと医師が必要だと考えて医師になり、人類の軌跡を逆に辿る「グレートジャーニー」という旅を続けていくうちに文化人類学者となった。

すべては探検という根から派生したもので、決して万能になろうとしたわけではない。

そう考えると万能な人は最初から万能を目指していたわけではない。1つ夢中になるものがあればいつの間にかいろいろな才能が開花していたということが往々にしてある。

子どもの教育で一番優先すべきは万能ナイフになることではなく、好奇心を刺激して夢中になるものを見つけさせることだと思うのだが、どうだろうか。