クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

テクノロジーの進化と身体能力

週末、相方がドライヤーを見たいというので駅前の電器店に行った。相方がレジに並んでいる間にぶらぶらしていると、テレビで野球中継をやっていて暇そうなオッサンたちが代わる代わる見に来ている(私もその一味)。

それにしてもピッチャーの球速というのはここ20年で劇的に速くなったように思える。

私が初めてプロ野球を球場に見に行ったのは、藤井寺球場での近鉄オリックス戦。当時、野茂英雄がエースとして投げていて、その日の最高球速は終盤に記録した148kmだった。

その瞬間、球場がどよめいたので鮮明に覚えている。

関係はないけど横浜スタジアムの裏

それがどうだ。

今は150kmを超える球をガンガン投げている。140km台の球と言えばフォークボールカットボールといった変化球だ。
おいおい、いつから人間はホイホイ150kmを投げられるようになったんだ?

時々「今のスピードガンは昔より速く表示される」と言っている解説者がいるが、計測器の誤差は上振れも下振れもする。マウンドからホームベースの距離が変わらない限り、一方的に下振れした数字のみを表示したとは考えにくい。

そうなると、現在のアスリートの方がかつてより能力的に優れているとしか結論付けられない。

 

考えてみるとあらゆるスポーツで過去の記録は塗り替えられている。

リードクライミングでは、5.10(ファイブ-テン)を最高峰としてグレーディングがなされたのが、今や5.15レベルまで最高レベルが伸びている。

アベベ・ビキラがローマオリンピックで優勝した時のタイムは2時間15分で、現在の世界最高記録は2時間1分台。

過去のあらゆるスキルが効率的に伝わり、テクノロジーの進化も相まって記録が伸びたのだとされる。つまり、全て先人の功績というわけだ。中には時代が「今俺が現役だったらもっとすごい記録を出せた」と嘯く人もいる。

しかし、本当だろうか?

素直に「今の子ってすごい!」と言えなくなっていくのがオールドタイマーの証拠なのかもしれない。