クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

若い頃の苦労はするべき?しないべき?

若い頃の苦労はするべきだろうか。

そんなことをつらつら考えるのは、コロナの影響で本社勤務の新入社員が増えたからだ。彼らを見ていると早く一人前にならねばという焦りや同期入社同士のライバル心、これからどうなるという不安があるのかないのかよくわからない。

こちらが年を取ったということだろうか。

 

私の入社した時はとにかく新人は地方だった。

行った先の人たちは大抵優しいのではあるが、いきなり見ず知らずの地に住んで、社会人1年目を過ごすのは孤独で、それなりに気疲れもする。苦労と言えば苦労で、大変な事業所に配属になると休みなんかほとんどないという話も聞いた。

私の場合はそんなことはなかったけど、勤務先は広島の片田舎で土日出勤は当たり前。脚立に乗って機械を交換したり、セメントを捏ねたり、炎天下で草刈りしたりと肉体労働が多い。それだけでなく事務所では台帳を入力したり、簡単だけど図面を描いたりといった仕事もあり、心身ともになかなかハードな新入社員時代だった。

ただ、永遠にこの仕事をするわけではないという割り切りもあったし、見知らぬ地でやることもないのもあって当時は悪い経験じゃない気がしていた。

 

いきなり本社だと土日祝日は基本的に休みだし、エアコンは効いている。部署にもよるのだが、管理部門の新人の仕事はルーティーンを覚えることから入るので、苦労して考える必要もない。

根性論は嫌いなのだが、

「オイオイ、若いのがそんなことでええのか?」

と思ったりする。

 

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若い頃の苦労はするべきかと問われれば、「しとけば後が楽」と答える。

苦労か楽かの問題は落差なのだから、先に大きな苦労を知れば、後から来た少々の苦労もそれほど感じない。何より体力と回復力があるから、乗り越えやすい。年を取ってからの苦労は若い時より目減りした気力と体力で乗り越えなくてはならない。

一方で、ことわざを楯に取って若い者に理不尽な仕事を突きつける大人がいるのも事実。大概、価値の低い仕事、嫌な仕事を押し付けることが多いから、若い方は「苦労はしなくていい」となってしまう。

しかし、価値の高くて難しい仕事なら苦労してでもやった方がいいと私は思う。というか価値が高い仕事こそ苦労するのだから、苦労しない仕事はしないくらいでもいいのかもしれない。

「己はどうか」と問われればそんなに難しいことをしていないのかもしれない。それでもお客にどやしつけられたり、爆発を起こしたり、土手から車を落としかけたり、これだけ書くと何の仕事かさっぱりわからないだろうけど、いろいろあった。とにかく現場仕事は何が起きるかわからないので、スリリングな1年だった。

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イラストレータ沢野ひとしの言葉

「若い頃の苦労は買ってでもしろ。年を取ったらとにかく金で解決しろ」

ふざけているようだが、真理かもしれない。