クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

将棋の展開と時代の流れ

立て続けの将棋ネタ。

藤井竜王の快進撃が続く中で、渡辺名人の意地を見たい気もしている。構図は大山康晴 vs 中原誠か、谷川浩司 vs 羽生善治のようだが、後進が打ち破るか、先輩が本領を見せるか。もし王将戦に藤井竜王が登場すれば正念場になりそうだ。

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龍安寺の石庭(内容とは無関係)

ここのところネットでプロの将棋が見れてありがたい。かつては新聞の将棋欄をスクラップしたり、NHKの将棋講座に載っている観戦記を見たりしていた。ここのところタイトル戦までオンタイムで見れるのが驚きだ。

オンタイムで見てみると緊張感が違う。それと最近の将棋はとんでもなく展開が速い。2日制のタイトル戦で、1日目は駒組みだけなんていうケースはまれで、一歩間違えれば終局してしまうような局面にまで来てしまう。そんなもんだから、初手に緊張を落ち着かせるために5分とか10分使う棋士などもいなくなった。

昔の観戦記を読むと面白くて、大山名人が控室で他人の指す囲碁を眺めたり、冗談を言い合ったりしている。囲碁の話になるが、呉清源なんか1日目は寝ながら指していたという。

タイトル戦でそんな感じだから、その他の対局ではもっとのんびりしていたらしい。暑い日は対局室に氷柱を立てて団扇でバサバサと、まるで縁台将棋のように指していたらしい。

「矢倉は将棋の純文学」と言われたが、金銀三枚で固めてからの勝負なので、戦闘開始までに時間がかかる。さらに、コンピュータによる形勢判断などなく、中盤になるまでは人間も形勢不明としか言えない。そのあたりがのんびりした空気を生んでいたのではないかと思ったりする。

 

私は見る専門で、指す方はとんでもないヘボである。したがって、見てて楽しいのだが、どっちがいいのかさっぱりわからない。将棋の難しいところは攻めている方がいいわけではなく、駒得すればいいわけではない。

しかし、ここ20か30年ほどで序盤の精密な研究が進み、あっという間に形勢が傾く展開が多くなった。将棋がどんどん進化、成熟し、新たな時代に入ったというべきか。

あっという間に時代に取り残される感じは怖いようでそれでいて面白い。