クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

IQと頭のいい子と将来の夢

週末、相方とネットで『将棋の渡辺くん』という漫画を見て思わず笑ってしまった。

渡辺くんとは将棋の渡辺明名人で、作者は妻の伊奈めぐみさん。渡辺名人14歳でプロとなり、初の永世竜王資格者となる。タイトル通算31期は歴代4位となる。

この大棋士と言っていい彼のIQはどのくらいあるかと測定してみたらしい。比較として妻のめぐみさん。彼女も棋士を目指した人である。

渡辺名人の結果は後にして、相方の勤めるフリースクールには「うち子はギフテッドなんです」という親が時々来るらしい。

ギフテッドとは「神に才能を与えられし者」。つまり特別な才能を持つとしてIQで言うと130以上の子を指すらしい。ソフトバンクグループの孫会長なんかも支援していて、日本でも天才児をしっかりと育てる仕組みを作ろうとしている。

私の身近にIQを測った人間として弟がいる。彼は日英仏独を程度の差はあれ話すことができ、イタリア語も日常会話くらいはできる。凡夫たる私からすると凄いレベルなのだが、彼の語学力はIQで120に達しないらしい。一方で100以下という能力もあるので、平均値としては一般人レベル、100くらいに落ち着くのだとか。

130を超す凄い子にはなかなかお目にかかれない。それでもわが子のIQに対して異常に執着する親は多いのだ。

将棋界では藤井聡太竜王が14歳でプロになり、藤井フィーバーを巻き起こしている。

今は20歳となりさほど言われなくなったが、モンテッソーリ教育とやらが随分注目されたりと、「どうやったらウチの子を藤井聡太にできるか」みたいな書籍がよく出ていた。

どの親も「頭にいい子」に育てたいわけだ。

しかし、頭が良くて、成績が良くて、一体どうなってほしいのだろう。頭脳明晰、スポーツ万能は結構。ところが優秀であるという事実は他人との比較の中で存在価値を見出しているに過ぎない。

優秀であれば劣等感を感じなくて済む。ただ、それだけを頼りに生きてほしいのだろうか。もっと「この世界は面白い」と感じさせる方が肝要だと思うのだが。

 

さて、ネタバレになるので、漫画でオチを知りたい方は読まないでください。

渡辺名人のIQは99だった。ほぼ一般レベル。というか普通過ぎる。

私が言うのもナンだが、プロ棋士は自分の生まれる前の記録まで覚えているほど暗記能力がすごいのである。おまけに20手、30手先の詰みを勘で探せちゃったりするのである。

しかし、どやらIQは99でも将棋のトップになれることが証明されてしまった。

わが子に藤井くんのようになってほしいと思う親はどんなことを思うだろう。