なかなか 登山の話にいけない。
そもそも当初の目的は九重山に登り、坊ガツルでテント泊と山の温泉に入るのが目的だった。
ところがタイミングよくというか悪くとんでもない寒波が来るらしい。そこで妥協案として持ち出したのが別府温泉に浸かり、由布岳に登る計画である。
初日は地獄めぐりをして、足だけ湯、蒸し湯に浸し、最後にホテルの最上階にある温泉に浸かった。
2日目はようやく旅の目的地。由布岳に登る。
由布岳は別府と湯布院の中間にある山で、豊後富士とも呼ばれる成層火山である。。標高は1600m弱ながら御鉢巡りもできる立派な火口もあるので天気が良いときは最高だと聞いた。
湯布院に向かう峠あたりにある由布岳登山口から登ることができる。観光路線バスの「ゆふりん号」なら1時間に1本、通常路線バス2本で、計3本あるので下山後も安心である。
そんなわけで由布岳登山口に颯爽と降り立ったわけだが、この冬一番と言える寒風がわれわれを襲った。
その日の予報は別府市内は晴れ、福岡は曇り。典型的な西高東低の気圧配置で、登山口の段階で氷点下となっていた。
「どうせ1500mくらいの山だし」
となめてかかっていたら、指がジンジンするくらい寒い。仕方ないので持っているウェアを全部着る。
パタゴニア・キャップリーンの厚手にR1プルオーバーにナノエア、アウターとしてトレントシェル。厳冬期の八ヶ岳より厚着となった。
由布登山口からは頂上まで2ルートがある。
湯布院側、北のルートと由布岳の真ん中を登る直登ルートとなる。われわれは最初は北ルートから登り、直登ルートから下山することにした。
北ルートは沢筋と尾根を交互に辿るらしく、歩きやすい。寒いのが難だが、動いていればまあまあ。途中からガスで何も見えなくなったが仕方ないだろう。
火口にあたると分岐があり、左に行けば西峰、右に行けば東峰。われわれは東峰を経由して直登ルートから下山することにしていた。
ところがこの直登ルートは結構急こう配で鎖場が連続している。夏ならいいが、新雪の積もった岩場は足場が見えづらいし、かなり歩きづらい。チェーンスパイクを着けていたが、こいつでは細かい足場に乗りづらいのだ。
ようやく傾斜のなだらかなところに行きつき、カップラーメンを食べた。
そして今度は行きとは違う東登山口に下りることにする。しかし、こちらは誰も人が入っていないのかルートが雪の覆われ、迷いながらの下山となってしまった。
由布岳。いい山だったが、なめていると痛い目に遭う。とにかく冷え切った身体を温めるためにわれわれは別府の温泉に向かって道を急いだ。