梅雨入りしてしまった。
紫陽花を見るのは好きなのだけど、出かけにくくて困る。こういう季節になると余計に山登りに行きたくなるから不思議だ。
東京近辺で登山を始める人はまず高尾山か金時山、大山あたりに行く。そして、そこから遠くを眺めて富士山に登ろうと思う(らしい)。
「一生に一度登るバカ、登らぬバカ」とも言われる富士山だが、私は5回登っている。
初めて登ったのは10年以上前になるが、人の多さに嫌気が差した。自分もその一員なので文句を言うのも筋違いながら、高山病より先に人酔いしそう。隊列を組んでノロノロと歩くさまは小学校の遠足か、亡者の群れのようだった。
一方で、登山用品店でバイトもしていた相方は一度も登っていない。
理由は「楽しくなさそうだから」とのこと。確かに富士山という山は延々登りで、景色も変わらないし、植生にも乏しいしで、楽しくない。
それを多くの人は夜間に登る。夜間はさらに展望もない。もはや苦行である。
多くの人は富士山の後もしょっちゅう登山をするわけではないのだから、この苦行もスパイスとしていいのかもしれない。
ただ、毎回の登山がこれだと私には耐えきれない。相方は一度でもこの苦行は嫌らしい。
では、なぜ私が5回も登ったかというと謎である。
ただし、少なくとも1人で行ったのは最初の1回だけで、あとは複数人で行っている。1人登ると苦痛は倍だが、2人だと半分、3人だと3分の1になるのが富士山マジック。
結局、周囲に富士山へ登りたい誰かがいる限り登ってしまうのかもしれない。