クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

登山の原点能力とは

ここのところ比較的軽い登山しかしていなかった。

夏の雲ノ平山行は本来3日で通り抜けられるところを6日もかけたし、先月の岩手山登山も縦走には失敗。厳しいことは全くしていない。

では、厳しい登山にも耐えられる原点能力とは何だろう?

「原点能力」というのは故野村克也監督が使った言葉だ。投手が打者の外側低めを投げる能力を指している。そこに投げておけば大きな失点につながらないということで、「原点」という使っている。

登山とフィールドスポーツというのは少し違うが、登山で「失点」とは「遭難」ということだろう。そこでいくと道迷いなんかは遭難につながる。地図読みというのは原点として必要な能力と言えるだろう。

しかし、今や北アルプス百名山なんかは道標でいっぱいで、地図がなくても登れることが多い。実際、下山した人が自分で登ってきた地点を知らないということも起きているようだ。

この夏、私も危うく遭難しかけた。雲ノ平から高天原温泉に行く途中で捻挫したのだが、這うようにしてテントに戻った。翌日テントで動けなかったが、安静にしていたら回復して、その翌日富山県の折立まで行くことができた。

なぜ無事下山できたかというと、捻挫で済んだこと以外に大きな点がある。今回、食料をかなり多めに持って行っていたので、翌日無理に下山する必要がなかったのだ。

そんなことかと思うかもしれないが、食料を持つには体力がいる。怪我をして動き続けるにもやはり体力が必要。体力がないと読図能力や判断能力も鈍ってしまう。

身も蓋もない話だが、登山の原点は体力なのだ。

 

以前、会社の研修でビジネス講師に登山をしているという話をすると、「登山に必要な能力とは?」と問われた。一も二もなく「体力です!」と答えたら、講師の想定に反したのか、そこから話が続かなくなってしまった。

リスクマネジメントとか決断力とかビジネスにつながることを言ってほしかったのだろうか。

しかし、「元気があればなんでもできる」というのが登山の真理なのに間違いない。