クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

『鬼滅』で話題の雲取山に登る②

今回、雲取山に登るのはおそらく10回目くらいだろう。

毎回気になるのは『鬼滅』ではなく「平将門 迷走ルート」という看板だ。平将門が戦に敗れ、藤原秀郷平貞盛に追われ、雲取山山中を迷走するという話が書かれている。

平将門は追手から逃れるため山中に入る。麓に近いところでは酒宴を催したり、風呂に入ったりしているが、上部に逃げると悲劇的な出来事が次々と起こる。正室が足手まといにならぬよう自害してしまい、99人の妃達(?)も自害。

ただ、話はそこで途切れていて、平将門は最後に常陸国で敗死するという史実のみ書かれている。雲取山のエピソードは盛り沢山なのにそこから200kmほど離れた常陸までどうなったのかわからない。

少しモヤモヤする。

平将門の看板の最後が経つのは七ツ石山の北側。そこまで行くのに2時間ほどしかかからなかった。悲劇的な書きっぷりのわりにのんびりとした逃避行だ。

いろいろツッコミどころはあるものの、雲取山は比較的長くてなだらかな道なのでこういう案内は飽きなくていい。

今の時期、上の方の紅葉はもう終わっていて、中腹あたりが見ごろだった。

風もなく、鬼も出そうにない天候。登山口から頂上まで4時間ちょっとだった。一般コースタイムよりわりと早い。

のんびり持参したカップ麺に山専ボトルのお湯を注ぎ、その後コーヒーを飲む。

頂上で山談義をしている人たちがいた。

北アルプスなんか行きますか?」

「ええ、しょっちゅう」

「すごいなあ。私なんか地元の妙義山で岩の練習するんですが、北アルプスはまだまだ」

「いえいえ、ここまで3時間で来れるなら大丈夫ですよ」

「いや、まだまだ実力不足で」

北アルプスへは私も10月に行った。正直言って妙義山の変な岩場の方がよほど怖い。体力も十分なら行けばいいのに。

 

休憩はほどほどにして下山開始。

バスの時間を見ると2時台に2本あるのに3時台に1本もない。2:39を逃すとその後は1時間半後。

こらまた大変なのである。

(つづく)