水道水は"tap water"と言うそうだ。最近知った。
何を叩くのかと思ったら、'tap'には蛇口という意味があるらしい。
つまり「蛇口水」。マズそうである。
東京も大阪も江戸時代には水の都と呼ばれた街だ。運河が発達し、水路が物流の中心となっていた。これらの大都市を支えたのは材木であり、紀伊国屋文左衛門や淀屋辰五郎は川を使って巨額の富を得ていた。
この二大都市は生い立ちが案外似ている。東京は現在の、大阪は難波宮などのかつての都。ともに海に面して埋め立てと運河によって形成された水上都市である。そして、江戸城、大坂城というともに天守閣を失った城下町という点でも共通している。
したがって、現在は最も自然から遠い街となっている。
「大阪都構想」というのがあった。
何だか過去形になってしまうほど話題であるが、明治時代に大久保利通が大阪を首都にしようとしたという話があるから、「たら・れば」を言えば「大阪都」、「東京府」になり、阪神タイガースの優勝回数は読売ジャイアンツを上回ったかもしれない。
大阪人は対東、対東京に燃える傾向にある。ただ、一方でそれは反骨であって、決して王者になれないことを示しているのかもしれない。政治・経済の中心を江戸時代以降、東に持って行かれても、文化の一部では勝るという矜持が大阪を下支えしているように思える。
ドリカムの「大阪ラバー」も東京では成立しない。ナンバーツーだからの歌なのである。
さて、登山の話。
東京都の最高峰は雲取山で、周辺の奥多摩は首都と思えないくらい山深い。週末ともなれば雲霞のごとき登山者が中央線や奥多摩線を埋め尽くすことになる。雲取山はテント泊もできるのがいい。テント場はすでに東京都ではないかもしれないが、それは置いておいて、首都で山中テント泊でまったりというのは都会の時間から隔絶された空間である。
その他、御岳山や日の出山など東京都の西半分は山であり、沢登りなどすれば「これが東京の水か?」と思えるくらい清澄な水を味わえる。そしてそれが多摩川となって東京湾に注いでいるのである。
山においても東京都圧勝である。
なにしろ大阪府の最高峰は金剛山。しかも金剛山の山頂は奈良県なので、金剛山の中の一部が最高地点という中途半端さにある。
「日本一低い山」なんていう天保山もあるが、これはギャグの領域。2000年前の巨人阪神戦みたいになってしまう。
冒頭の水についても大阪の水源は淀川で、これは琵琶湖に発する。断りを入れると琵琶湖の水はかなりきれいらしい。汚れが多いのは大津近辺で北は魚が群れるくらいだという。ただ、大阪の水問題は周辺に地方都市が多いのでなかなか難しい。かつて一番汚かった大和川も上流は奈良県の竜田川である。
それではということで、大阪の面目躍如の山としては葛城山を挙げる。これも奈良県との県境の山ではあるが、5月の連休の頃になるとそれはそれは素晴らしいツツジの山並みを見ることができる。人が少々多いがそれも良しとするくらいきれいだ。
山のスケールでは完敗。でも1つのポイントだけでは勝つというのが大阪らしい(勝手なことを申します)。
「今日はボロ負けやったけど、新庄のホームラン見れたしええわ」
なんてね。