クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

永遠のバックパッカーでいたい

社会人になって「登山が趣味で」と話すと、ほぼ例外なく「いいですねえ」と言われる。もちろん社交辞令も含めての話で額面通り受け取ることはできない。

ただ、そう言われるとやっててよかったなあと思うのも事実だ。休みの日は家で過ごすか、子どもの面倒を見るくらいという人も案外多くいる。そんな中で休みには山があるというのは精神面でもかなりいい。

ひところ、登山と言えば何かに挑戦していた時期がある。
少しでも上のグレードで、少しでも困難なところを。低山から高山へ、一般登山道からバリエーションルートへ。雪山に行ったり沢に登ったり。

大したレベルではないが、自分の可能性を広げることに夢中になった時期がある。

ただ、ここのところ本当にやりたいことを考えてみた。

本来、私は自分の荷物を全部背中に背負って旅に出たかった。衣食住すべてを1つのバックパックに入れ、今日着いたところが家となる。この世界を住処とする風来坊。これが私の理想だった。

その意味で私はクライマーや冒険家にはなれない。困難なことをするのは楽しいが、それだけを生きがいにはできないからだ。

 

私のしたいこと。それは永遠のバックパッカーだろう。

先祖は商家だという。それも富山の薬を扱う卸売業者だったらしい。富山散薬は置き薬として有名で、ひょっとしたら先祖も草枕で全国を放浪していたかもしれない。

家に囚われず、自分が生きていることを自分だけが知る。そういうことが難しい時代に私たちは生きている。