クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

都会の雪と子ども心

東京は今年初の雪になりそうだ。

子どもの頃は、冬なんだから雪くらい降ってほしいと思っていたが、大人になり、都会に来ると大雪は面倒だ。

まず電車の本数が減ったりする。すると1台あたりに乗る人が増えて大混雑が起き、電車が遅れてさらに大混雑という負のスパイラルに陥る。

服装も厄介だ。わが家には3000m峰の雪山くらには対応する装備がある。防水のジャケットに、未脱脂ウールの手袋。路上が凍ればチェーンスパイクか12本爪のクランポンもある。それなのに平日はスーツの上にコートとマフラー。足元はビジネスシューズという恰好になる。

あるのに使えないのはなんとも理不尽だ。

昭和初期の子どもの遊びなどを描いた原賀隆一『ふるさと子供グラフィティ』を見ると、子どもは台風や大雪などを楽しみにしている。

台風で洪水が起きると、魚が田んぼに乗り上げたり、水路に流されて簡単に獲れるそうだ。大雪になると雪に砂糖を振りかけて即席アイスにしてしまう。氷柱を見つけては齧りながら登校する。

日常の中の非日常を楽しむのが子どもなのだ。

それを思うと、日常を恙なく過ごそうとした瞬間から、子どもの遊び心は失われてしまっているのかもしれない。