クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

父へのプレゼントと日本の贈り物文化

今年、父が仕事を辞めるという。これまで53年ほど働いてきたのだから、何かプレゼントをと思っている。ただ、困ったことに私は他人にプレゼントを贈るのが苦手なのだ。

その点、プレゼントを選ぶのが好きという人がいる。特に女性に多い。

「こんなものは喜ぶかな?」

と喜ぶ顔を想像するのが楽しいようだ。

なるほど喜んでくれればこちらもいいのだが、私のように深読みする人間は「いらない物をあげたかな?」と不安になってしまい、苦手意識が加速してしまう。

考えるに、プレゼントというのは欧米の文化のようだ。

日本ではプレゼントの際に「つまらないものですが」と言う。謙譲の意識だ。

それに対して英語では"I hope you like it."(気に入ってくれたら嬉しい)などと言う。さらに"I thought you might like it."(気に入ると思ったんだけど)。こんなことを言われると相手もいらないとは言えない。

現代の中国でどう言うか知らないが、儒教では対等な関係はあり得ず、必ず上下関係が存在する。下の者が上の者へは貢ぎ物を捧げ、上から下へは下賜する。各々当然のこととしてプレゼントを行うし、上の者は何を渡されても鷹揚に構えなくてはならない。

これらを考慮すると、相手に気遣い過ぎるのが日本の特徴を言えるかもしれない。

 

父へのプレゼントは、退職して家でゴロゴロしないようにアウトドア用の軽い防寒着、化繊ダウンでも渡そうかと思っている。

「つまらないものですが」なのだが、本音は「気に入ってもらえいると嬉しいのだが」という気持ちではいる。