4月になって電車が急に混むようになった。
昔から謎なのだが、これが5月になると収まってくる。4月は張り切って出勤、通学していて、5月病になって行かなくなる人が増えるからだという説明を聞く。
そんなものなのだろうか。少々釈然としない。
4月になって新入社員が入ってきた。
最初は研修ということになる。このあたりは日本企業の手厚いところで、最初の給料は安い代わりに研修をしてもらえる。
私はこの研修とやらが非常に苦手だった。会社に入って組織に貢献している実感がないからだ。早く一人前の戦力にならねばというのが1年目の心境だった。
最初の研修内容なんかは1年後にはきれいさっぱり忘れている。
5月に入ると現場に入り込むようになった。
その頃にポロポロ辞めるのが出てきた。少しずつ現実の職場が見えてきたのだろう。
そう考えると5月は4月の張り切りが取れて憂鬱になるのではない。現実が見えてきて戸惑う時期なのだ。私は基本的に能天気なので、「まっ、こんなもんか」と思っていたが、理想の高い人ほどギャップが大きかったように思える。
5月病になるのは気力が切れるからではなく、大きな理想を抱き過ぎたから。そう思えば、少しは気が楽になるだろうか。