連日Chat GPTなどの生成系AIについての報道が増えている。
そんなことを感じていたら面白い話を聞いた。さる会社で、重要な会に欠席する会社役員のメッセージ文を作らせたらいいものができたというのだ。欠席理由などシチュエーションだけはしっかり入力する必要があるものの、かなりカッコイイ文章ができたらしい。
結局、外資系企業っぽい雰囲気の文章だったので、多少手直しして公式の場で使ったそうだ。
この話を聞いて2つのことが言える。
一つは、ChatGPTは定型句を組み合わせたくらいの文章なら、かなり正確に書けるレベルである。
もう一つは、重役の挨拶文というものに大した意味を持ったものが少ないということだ。
実際、ゴーストライターとしてその役員のメッセージ文を仕上げた人(ゴーストはChatGPTかもしれない)は「俺のこの仕事ってなんだろう?」という疑念が頭をよぎったらしい。
内容は「欠席してごめんなさい」ということを回りくどい言っているだけなので、単に社交辞令なのだろう。そんな文章を作成するという仕事にどれほどの価値があるかということは考えざるを得ない。
こういう話を聞くと大した文章でなければ生成系AIに作らせてもいい気がする。
というか世に溢れる、ほぼ記憶に残らない挨拶文などはChatGPTが代行できるのではないかとも思う。創造性を要求されない仕事は見事に消滅する時代が来たのだ。
マイクロソフトBingに「生成系AIに対抗するためには?」と訊いてみたらこんな回答が返ってきた。
生成系AIに対抗するためには、人間がAIが苦手とする分野でのスキルを身につけることが必要です。例えば、創造性や感性、直感的な判断力などです。また、AIが苦手とする分野での仕事を選ぶことも有効です。生成系AIは、既存の文章や画像イメージを大量に機械学習し、これに強化学習を組み合わせることで、一定の文章や画像を生成することができます。しかし、人間は創造性や感性、直感的な判断力を持っているため、AIが苦手とする分野でのスキルを身につけることで、AIに対抗することができます。
生成系AIに対抗する術を生成系AIに訊くというタブーを犯したが、それでは「創造性や感性、直感的な判断力」とは何だろう?
オリジナリティとかクリエイティビティとか言うのは簡単だ。ただ、要は自分の頭で考えることだろう。考えて考えて「俺って天才!」と錯覚するアイディアを絞り出すしかない。
人間の本質が問われる時代になって、より世界が面白くなってきた。