ここ何年も出張に行っていない。いわば社内引きこもりだ。
かつて父親がしょっちゅうドイツと日本を往復していて羨ましかった。飛行機で世界を股にかけるビジネスマン。なんちゅうかいいなあと。
自分が社会人になってからは、世界は股にかけなかったけど、本州と九州の間、関門海峡くらいは股にかけた。本当は津軽海峡とか鳴門海峡も股にかけたいところだったが、出張はせいぜい九州だけだった。
それでもたまの出張は楽しかった。
九州の出張で楽しいといえば博多。普通の居酒屋でも水槽にイカが泳いでいて、透明な刺身で出してくれる。頭は唐揚げか天ぷらを指定すると一度持ち去って、揚がって出てくる。
あとは関鯖や関鰺。食欲旺盛な20代なら存分に楽しめる。
ある程度年を食って行かなくなったのは賢明かもしれない。あの当時の調子で食べ続けたら太るわな。
個人的には岡山なんかもいい。都市の大きさは広島に負けるけど、街としてまとまった感じがある。繫華街近くに水路があったりして、少し京都の高瀬川近辺みたいなところもある。
広島は住んでいたこともあるのだが、ほとんど中心地に行っていない。それと市街は路面電車が走っていたりして結構カオスなので、個人的好みは岡山に軍配が上がる。
名物といえば両者ともそれほどない。カキくらいだろうか。「カキはフライが一番」と広島の人が言っていたので、現地で食べるメリットはあまりないかも。
出張だと夜の繫華街くらいしか行くところがない。それでも楽しいところは、適度に風情があって食のいいところだ。
ほとんど地元に近いけど、大阪も案外いいところだ。
かつての水の都なので、道頓堀川あたりも出張気分を盛り上げてくれる。仕事柄、出張で大都市に行くことはほぼ皆無なのだが、川の流れる都市というのはなんとなくいい。東京はなんで川の上に首都高造っちゃったんだろうと思う。
経費で行ける分、出張の場合は楽しめる時間は一瞬だ。ただ、街への印象は意外と強い。
たまには出張行きたいな。
