クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

「怪しい人にはついて行く」の姿勢

先日の白神山行では当初の予定、白神岳から十二湖への縦走を止めてマタギのおじさんについて行った。この判断を推したのは相方だ。この相方だが、どうも「怪しい人にはついて行く」傾向がある。

これはノンフィクション作家・高野秀行さんが『間違える力』でモットーとして語っているところで、その実、高野さんは怪しい人について行っては酷い目に遭っている。酷い目に遭ってはダメなんだが、時折面白い人と出会い、そのことを著書に書くのが高野さんの仕事なのだから、飯のタネといえば飯のタネ。ただ、危険には違いない。

相方は「旅は一期一会」と主張するものの、根底にあるものは変わらない。「怪しい人にはついて行ってしまう」のだ。

最近、岸田首相が大学への10兆円規模のファンドというのを打ち出した。それに対して経営コンサルタント大前研一さんは「金をドブに捨てるようなもの」と切って捨てている。

大前さん曰く、起業に必要なのは巨額の資金などではなく「出会い」だという。AppleGoogleも2人の創業者の出会いが出発点となっているし、決して巨額の資金があったから創業できたわけではない。

しかし、「出会い」というのは信頼関係が構築するところから始める作業だから、ある意味で資金を得るより難しいだろう。ただ、そこを越えると、良きしろ悪しきにしろ自らに何かしらの化学変化をもたらす。それは自分自身のソフトが全くの変種にアップデートされるようなものであり、時々バグが発生してもいずれは自分の進化につながる。

その変化がなければ世の中を変えるようなものは発明できないのだろう。

 

考えてみれば、私も山で出会った人たちとあちこち行き、山で会った人と結婚までした(つまり相方と)。犬も歩けば棒に当たるで、ここまで来たようなものだ。

やはり、怪しい人にはついて行くべきなのかもしれない。