クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

山屋の「一生モノ」

久しぶりにお題に乗ってみよう。

「一生モノ」って持ってる?とのことだが、どんなものでも人間の一生くらい保持するのは難しい。何せ80年とか100年とか言うと車みたいなものは無理。服とか繊維も博物館行きだ。

登山者にとっても身につけるものはほぼ消耗品なので、一生モノはほぼないのではないだろうか。

 

そんな中でわが父が「死んだらやるわ」と言っているのはシャルレのピッケルである。

シャルレはフランスのメーカーで、今は同じくフランスのペツルというメーカーに統合されているが、名門のクライミング用品メーカーだ。植村直己ピッケルを選んだ際も、シャルレと迷って最後はシモンのスーパーDというモデルにしたらしい。

父のものは植村直己とは違うけど、今はなき木製シャフト。今の流行りと違って杖のように長く、ピックと呼ばれる尖った部分にノコギリのような返しはない。まさに工事現場のツルハシのような形をしている。

今は1万円ちょっとで売られているが、40年以上前の当時はもっと高く、貨幣価値も今と違っている。現代の感覚では少なくとも5万円から10万円はしたと思われる。

もう現役で使うには怖いけど、とりあえず「一生モノ」だろう。

 

ちなみに写真は私のピッケル

ライミングテクノロジーのハウンドGというモデル。これを誰かに引き継ぐことはあるだろうか。