クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

自然保護と想像力

会社で仕事をしていたら、妙な会話が聞こえてきた。

「森の木が増えたらダムの水って増えるんですかね?」

思わず見上げてみると、環境保護などの社会活動を推進する部署の人たちがが目に入った。

ダムは言わずと知れた貯水池。

そして森林保護は何のためにするかと言うと、貯水のためである。

木の根がしっかりと土に張り付くことで雨水は土に浸み込む。そうすると大雨が来ても、川はいきなり増水することはなく、しばらく土が保水し、長い時間をかけて川に流し込む。したがって、森の豊かなエリアでは根の張った土が水を蓄えることで川の水量が多くなるので、水不足になりにくい。

豊かな森があればダムは必要ない。豊かな流れから取水すればいいからだ。つまり、冒頭に挙げた疑問は前提が間違っているということになる。

しかし、私がこの発言に持った違和感はそこではない。

発言者は森林保護をしなくてはならないと思っている。ただ、なぜ森林保護をしなくてはならないのか、森林保護をするとどうなるのかを考えたことがなかった。

つまり、お題目として自然保護を唱えているだけで、それによってどんな未来になるか想像できてないのだ。

 

これからの時代に必要な能力がよく問われる。

それが具体的に何か私にはわからないが、これだけは言える。

未来をどうしたいか、どんな世界を見たいか。その想像力が必要だ