クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

住宅が高いと少子化は進む?

日経新聞に、「住宅高騰、増やせぬ子ども 面積も狭く心理冷やす」という記事が出ていた。

乱暴にまとめると、住宅が高いので子どもが増えないのだという。

しかし、本当にそうだろうか?

 

確かに子どもが成長するにしたがって住宅は手狭になる。わが身を振り返ると、私が6歳までは1DKに4人、川の字になって寝ていた。そこで父親が家を建てることを決意した。

わが家が普遍的とは言わないけど、家が狭いから子どもを生まないわけではない。子どもが増えると広い家が欲しくなるのが流れだ。

それと広い家が欲しくなるのは子どもが成長して、周囲への音が気になったり、個室が必要になってから。

そんな先の先まで考えて子どもの数を絞るのだろうか?

記事によると住宅が高騰しているとなっていた。確かにファミリー向けの住宅供給は減り、割高になっているかもしれない。

しかし、需要がなければ価格は高騰しない。買う人がいるから高くなる。それに価格が高くても収入があれば買うことはできる。

今から30年ほど前はもっと高かった。しかも、抽選に当たらないと住宅メーカーも確保できなかったという。都心まで1時間半から2時間かかる土地に35年ローンで新築を建てていた。

その時代と今はどう違うか。

当時は長いローンを組んでも、収入は安定的に増えると期待されていた。少なくとも30歳の人が50歳になるときはかなり増えていると多くの人が考えていたはずだ。

今は全体として収入は上がらず、今後も上がる期待は持てない。年齢が上がっても収入は上がるどころか減る懸念さえある。

こんな状況で、長期の大型ローンを組むのはリスクでしかない。子どもが増えると教育費も嵩む。高齢化で社会保険料も上がるだろうし、年金なんてあてにできない。

アンケートに答えた家庭は将来への漠たる不安の象徴として「住宅」を挙げたに過ぎない。

 

結局、少子化は住宅が問題なのではない。

子どもというのは限られた人生を未来に延長できる唯一の手段だ。未来に希望が持てるから子どもが生まれるのである。

「家が問題だから、子どものいる家庭に住宅補助金を出しましょう」という短絡的な発想にならないか、非常に不安な記事である。

 

基本的にお気楽、能天気な記事を書く目的の本ブログなのだが、思わず熱くなってしまった。

もうすぐ週末です。