クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

田内学『きみのお金は誰のため』を読んだ

田内学『きみのお金は誰のため』を読んだ。

FM横浜の番組「FUTURE SCAPE」で著者がゲスト出演していたので興味を持っていたら、相方が本屋で見つけるやすぐに買った。

帯には「経済教養小説」とあり、主人公の少年がボスと呼ばれる謎の老人からお金の本質を学ぶというものだ。小説をあまり読まない私には小説仕立ての部分が読みにくかったけど、内容については非常に納得いくものだった。

以前からお金について私も書き散らしているが、要はお金だけあっても役に立たないということだ。

お金で空腹を満たすことも寒さを凌ぐこともできない。「当たり前やないか」ということも大人になるとお金に幻惑されて気が付かなくなっている。それを小学生でもわかるように丁寧に説明している。

加えて、物事の主役は何かを生み出したり、サービスを提供したりといった実質であって、お金は人と人をつなぐ補助に過ぎない。「稼ぐ」ということに拘るあまり、われわれは「お金の奴隷」になっているらしい。

実は、私が著者の意見で最も感心したのは本よりラジオの方で「投資」について強調していたことだ。

今学校教育で「投資教育」が盛んにおこなわれていることは聞いていて、つい最近小学生に向けた動画の音声をたまたま聞いた。その結びとして「もっとお金に働いてもらいましょう」と言っていたが、私は非常に違和感を覚えていた。

それに対して田内さんがラジオで言っていた投資について「今若い世代が考えるべきことは投資をすることではなく、投資される側になることだ」という意見を述べていた。

なるほど私の違和感は「お金が働く前に自分が働かんかい」ということだったのだが、この意見には納得いった。お金には問題解決する力がないのだから、まずは自分が働いて投資される立場にならなくてはならない。

本書でも述べられており、これだけでも読む価値は十分ある本だった。