クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

運がいいと考える

今年は前厄なのか、いろいろスムーズにいかない。

そうは言ってもこういう時はいいことを忘れて悪いことにフォーカスしているだけかもしれないし、いい時は悪いことを忘れているだけだろう。「運がいい人」というのは運がいいと思い込んでいる人なのかもしれない。

 

マイケル・サンデル『実力も運の家 能力主義は正義か?』を読む。

原題は"Tyranny of Merit"だから「功利の専制」ということになる。意訳すると「実力の横暴」。「実力主義への疑問」ということになるだろう。

その前に読んだジェフリー・S・ローゼンタール『それはあくまで偶然です』が統計学的に「運」というものをユーモアを交えて書いたものであるのに対して、サンデル教授の方は「運」に対する人々の反応や見解を述べている。

面白いのが「悪いことをしたら報いを受け、善行は必ず報われる」といったことが、「成功は善行の報いである」と変換されることだ。『実力も運~』ではこの考えが能力主義の源となっているという。

つまり、成功した人はすべて自分の努力と実力で勝ち取ったものだと考えてしまうのだという。

 

まあ、どっちがいいのかわからないけど、自分は運がいいと思ってそれなりにポジティブに、それなりに謙虚に生きるのが良さそうだ。