クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

たこ足シューズ

いつも玄関に3足のランニングシューズが転がっている。足は2本しかないのだから6つも転がるシューズは過剰だし出入りには邪魔である。なぜそんなに必要なのだと言われればそれぞれ用途が違うのだが、使い分けるほどのランナーかと聞かれれば反論できない。

ただ何となく集まってしまったシューズたちだが、それぞれ思い入れもあるのでその紹介をしていきたい。

 

私のランニングシューズは全てasicsだ。

1.東京マラソンモデル

正式な型番は不明。捨ててしまってもう手元にない。

これはイオンのショッピングモールに入っているシューズ店(スポーツ用品店ではない)で在庫処分品になっていた。トレーニングのためにランニングを始めようと思って買った。当時はマラソンなんて考えもしなかったので、「東京マラソンモデル」という触れ込みに魅かれたわけではない。

履いてみると一言「軽い!」。これまで履いていたYONEXのテニスシューズが重かったこともあるが、これぞランニングシューズといった感じがした。デザインも純白に青いラインが入っただけのシンプルなものだ。

このシューズを履いて10kmの大会を2回、ハーフマラソンを1回走った。軽いのはもちろん、丈夫だった。最終的には靴底のラバーが極限まで減り、夜にジョギングしている最中にベロりと剥がれて使えなくなったが、距離メーターを付ければどれくらい走っただろうというくらい持った。買って6年は使ったと思う。

捨てる前に遺影として写真を撮った。この靴によって次以降もasicsを選ぶことにした。

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2.JOG

1足目が天寿を全うした後、2足目を探し始めた。その時、横浜マラソンに出るつもりだった。

フルマラソンに出るつもりなのだから本来慎重に探さなくてはならない。しかし、私は「安い!」という理由だけでJOGいうモデルをAmazonで買ってしまった。「東京マラソンモデル」が在庫処分品で3000円くらいだったのもある。

届いて早速履いてみると「重い!」と感じた。フルマラソンの目標は4時間切りだが、こんな重石を付けて42kmも走るのか?安さにつられて失敗した。

結局、シューズは買い直しになり、この重いジョギングシューズはリハビリ・ランニング用(久しぶりのジョギングでノロノロ走る用)またはウォーキング用となった。あまり使っていない上に、asicsの靴はどれも頑丈なのできれいなままだ。

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3.LYTRACER TS

フルマラソン用に買ったモデルが到底使えないとわかり、慌てて新たなシューズを買いに走った。確かトレッサ横浜に入っているVictoriaに見に行った。

ランニングブームのせいかいろいろな種類がある。一口にマラソンと言っても2時間クラスから制限時間ぎりぎりで完走する人用まで多種多様・百花繚乱である。JOGはあまりに重かったので、とにかく軽いシューズを探す。

ものすごく軽そうなモデルがあった。ペラペラの生地でお値段は旧モデルにつき6000円。これまでの倍近いが仕方がない。ショップのお兄さんに訊いてみる。

「これは陸上部の練習用ですね」

お兄さんは冷たく(まあ普通だと思うけど)言い放った。自己申告タイムを4時間と告げると、15000円くらいのクッション性のよさそうなモデルを出された。持ってみるとJOGよりは軽いが「東京マラソン」より重い。おそるおそる「軽いのがいいです」と申し出、目についたシューズを取り上げてみた。

LYTRACER TS。これは軽い。お兄さんは「まあ4時間切られるのでしたら大丈夫でしょうが...」とやや釈然としない様子ながら認可してくれた。試し履きするとこれまで履いたどの靴よりも軽い気がした。

後で知ったが、TSはトレーニング用でRSがレース用。TSの方が丈夫で安いが、レースでのグリップ力なんかはRSの方が良い。私はただ安いからTSにした。メーカーとしてはサブ3.5用なので、当時の私には背伸びしたモデルだった。

走ってみるとやはり軽い。JOGと比べると裸足で走っているような感覚だ。ただ、足裏は結構ペラペラでやや心もとない。やはりサブ3.5モデルなのだ。

購入後、3年経った奈良マラソンではこれを履いてやっとの思いで3時間19分を記録した。3年かかってようやくシューズのスペックに持ち主が追い付いたのである。

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4.GEL-KAYANO

先のLYTRACERを買った時に勧められたのがGEL-KAYANOである。お兄さんにしてみれば初マラソンの初心者には順当な提案だったわけだが、私は逆らって違うモデルを購入した。わざわざ逆らったのに、今そのモデルは玄関に堂々と鎮座している。

昨年、いわて銀河チャレンジマラソンの100kmに参加した。その模様は過去に書いたので割愛するが、さすがに100kmとなるとシューズの重要性を考えた。

100kmと言えば好きではないが「24時間テレビ」のマラソン企画。参加者は途中でトレーナーから足のマッサージを受けたりして、なんだかきつそうである。LYTRACERは軽くてよいのだが、裏はかなり柔らかい。足裏の筋膜がはじけ飛ぶのではないかと不安に駆られる。

20歳の自分だったら己の肉体を鍛錬すれば道具に頼る必要はないと割り切るだろう。しかし、この時はもはやそんなことを言っている場合ではなかった。大会までは3ヶ月ほどしかない。使えるものは何でも使う方針に転換し、サポートタイツ(ワコールのCW-X)を買い直し、シューズも見直すことにした。

調べてみるとウルトラマラソンのシューズには「軽量至上主義派」と「クッション性重視派」に分かれる。ウルトラマラソンは何十万回も足を地面にたたきつけるのだから、軽ければ軽いほど負担が減ると言う人。たたきつける回数が多いので足を保護しなければならないという人。真っ向から反発し合っていて結論が出ない。

当初、GEL-SAROMAというモデルを買うつもりだった。ショップの店頭にはないのでAmazonのレビューを見ると、「重い」という意見と「これを信じる」という意見。なにより履いている人は少なそうなのが気になる。結局、マラソン初心者用のシューズにターゲットを定めた。GEL-KAYANOとGT-NEW YORKを比較し、クッション性の高いGEL-KAYANOに決めた。これで大丈夫。

ところが意気揚々と受付会場に行ったら、ボロボロのLYTRACERを持っているおじさんがいて驚いた。自分は過剰反応だったのか。

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そんなこんなで3足のランニングシューズが玄関にいるが、最近もう1足欲しくなっている。スピード重視のTARTHERZEALとうモデルで、これは日本最速や世界を目指すエリートランナー用。去年のフルマラソンではLYTRACERを使ったが、速く走ると舗装道路の掛かりがやや悪い。エリートランナー用はきっとグリップが素晴らしく良いに違いないという興味本位。

もし買ったら4足8つが乱れ置かれることになる。玄関が遠からぬうちに「たこ足配線」ならぬ「たこ足シューズ」になってしまう日が来るかもしれない。