クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

エナジードリンク

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突然だが、これが何かわかるだろうか?

スターバックスのコーヒーなのはすぐわかる。しかも500ml缶で日本では見かけない。これはカナダで買った。その名も"STARBUCKS DOUBLE SHOT ENERGY*COFFEE"。

スターバックスエナジードリンクらしい。「らしい」とははっきりしない表現だ。なぜそんな表現になるかと言えば、飲んだけどエナジーになったのかわからないから。缶のどこかに効能が書いてあるかと思って読んでみたが、栄養価しか書いてない。カナダは英語とフランス語が公用語なので、他国と比べて記載内容は文字数の半分しかない。

栄養価を見てみると、ビタミンがなんだか多い。なんでコーヒーでビタミンを取らにゃならんのかさっぱりわからん。しかもお値段も3CD(カナダドル)以上だから300円くらいして、ビールを買うのと変わらない。さて、味の方は一言「甘い」。エナジーとは砂糖のことかと思ってしまう。

よくわからんぞ、カナダ。というかスタバならアメリカ発なのかもしれんが。

 

有名なエナジードリンクと言えばRed Bullだろう。ただ、そのRed Bull誕生のきっかけが大正製薬リポビタンDだったことはあまり知られていない(私もテレビ番組で初めて知った)。全世界なエナジードリンクのブームは実は日本発だったと言うことができる。Red Bullが登場した当時、栄養ドリンクらしきものはあまりなかったようで、発売するや大ヒットし、今や本家を上回る売り上げを上げている。

カナダでは日本のようなチビ缶ではなく、大きめの缶コーヒーのようなサイズで売られていた。缶が大きいのは体が大きいからだろうか。

 

 古今東西、健康マニアというのはたくさんいて、古代では秦の始皇帝が有名だ。不老不死の薬を求めて一説には水銀まで飲んでいたとされる。徐福という人物に宝物を持たせて東へ不老不死の薬を求めたのはあまりに有名だ。

徳川家康も健康マニアで、粗食と適度な運動を続けることで当時としては高齢の73歳まで生き、それによって豊臣氏を滅亡させるに至った。もし家康が太く短く不摂生に生きたら、大坂の陣で徳川政権は転覆したかもしれない。

 徳川家康が摂生によって寿命を伸ばすことに腐心したのに対して美食を追求したのは意外にも奥州の独眼竜・伊達政宗。徳川政権が基礎を固めていく中で、かつて天下に名を轟かせた武将はトイレでレシピを作っていた。別に『ズッコケ三人組』シリーズのハカセのように便座に常時座っていたわけではなく、そこはお殿様だから6畳間くらいの広い厠を作って中で書き物をしていたらしい。身体から出るものの隣で入るものを考えるのも不思議な気がする。晩年の肖像画はしもぶくれのふっくらとした顔になっていて、精悍さはやや影を潜めている。ただ、徳川家康が享年73歳だったのに対して伊達政宗も69歳だったことを考えると、食った方がよいのか控えた方がよいのかは判断が難しいところだ。

 

 現在、ドラッグストアには医師の処方箋の必要な薬から、市販薬、医薬部外品の健康食品が百花繚乱、パッケージの彩鮮やかに並んでいて、中でも「マムシ」とか書いてある栄養ドリンクを見ると何だか怖い。ただ、怖いのと同時にどのくらい効能があるのか気になったりはする。

20年くらい前に休日の夕方にやっていた真面目な報道番組で、某国家代表がオットセイ由来の精力剤を愛用していると報じていた。そして某国の事情に詳しいという評論家が神妙な顔をして

「これを飲むと暴れ出すくらい効果があります」

と言う。番組を進行するアナウンサーも

「はぁー」

と感心したように応えている。なんだか珍妙、滑稽。これがお昼のワイドショーならまだしも真面目な報道番組で、オットセイ由来の精力剤をスーツを着た男女が仏前に花を供えるような顔をして話しているのだ。精力剤を使うかどうかが世界を揺るがす重大事実なのだろうか。


国家を揺るがすことは全くない私のエナジードリンク事情はアミノ酸の粉末を飲むくらいだ。

2年前に100kmマラソンに出た時に初めて飲んだ。出発前に一袋、中間地点で一袋、終わってから一袋。もう終わってから両足とも痛くてアミノ酸の威力なんかはあったかもわからないのだけど、飲んだから完走できたかもわからず、今はマラソンの前には飲んでいる。

ちなみに登山の時は色々だ。飲んだから無事に帰れる保証をエナジードリンクは持ってはいない。