以前、指輪について茶化したというか、適当な雑感を書いた。
自分は生涯指輪なんぞせんと誓ったわけではないが、縁遠いものと見ていたら年明け早々に買うことになってしまった。「なってしまった」などと書くと罰が当たるな。買うことになりました。
訳あって指輪を買わなきゃいけなくなった。訳といってめでたい訳だから「いけなく」なんて言ってはならない。まあお察しください。
昨年、後輩が計100万円(婚約指輪と結婚指輪)を使ったと聞いて、恐怖におののいていたら、相方が手作り工房というのを提案してきた。聞けば蝋を削って形を作り、その通りの指輪を制作してくれるらしい。基本料金として若干の金額があるもものの、デザイン料はないし、あとは金属の値段だけ。なにより唯一無二のものというのが面白くて作りに出かけた。
工房は都内某所、神宮球場の近く。雑居ビルの1階にあって、去年行った整体をちょっと狭くしたようなところだった。例えがわかりにくい。要は狭い喫茶店くらいのサイズで、工房と言っても作業机が2つ置いてるくらいで、奥は倉庫やらがあるようなところだった。
私たちが入ると奥ではすでにカップルが作業に入っていて、トンカントンカンやっている。途中で何組か問い合わせや見積もりに来るカップルもいて、結構流行っているようだ。
最初に簡単な説明を受け、指のサイズの内寸にした蝋を受け取ると、あとはヤスリやサンドペーパーで削るだけというものだった。簡単に書いたが、やってみると蝋というのは木と違って簡単に削れる。ただ慎重になると進まないので、遠慮なくガリガリやること3時間。店長という茶髪、ピアスのちょっとヤンチャな印象のおねえさんの手伝いもあって完成した。
指輪のテーマはズバリ「山」。
最初はどうなるかわからず、大丈夫かいなと感じていたが、おねえさんの力もあってしっかりと山になった。聞けば当のおねえさんもイメージができずに困惑していたらしい。
モデルとなった山はこちら。
そしてできた指輪はこちらである。
まあ、出来栄えは制作者の力量に限りがあるので、こんなものだろう。ただ、実際にこの指輪、手に着けてみると少しばかし問題が発生していた。
問題とは、大きいのだ。
そんなこと作る時に気づきそうなもんだが、私の指に問題があった。私の指はどれも第二関節が太くなっていて、指輪を通そうとすると関節に引っかかってしまう。手全体は小さい方なので、指は普通の太さなのに関節が膨れているので、どうしても大きめのサイズを選ばざるを得ない。試しに工房で1つ下のサイズを付けたら、関節に引っかかって外れなくなり、一瞬焦ってしまった。外れなくて指輪を切断したという話も聞いたことがある。高い買い物だけに恐ろしい。
関節が太い原因はボルダリングだ。登山の助けになればとジムに十年ほど前から行き始めた。最近はまるで上達せず、握力は強くならずなのだが、月日の効果、雨だれ石を穿つか指の関節だけ太くなった。
山友達によればクライミングを続けると関節が太くなるだけでなく、指の方向も曲がってくるようだ。私の指もわずかに外を向いている。さらにやりすぎると次の段階では指が伸びなくなるらしい。そこまで来るとスポーツ障害、一般的には普通の障害に見える。
いやはや自己責任とはいえ大変だ。
フルマラソンを走れば爪がベロりと剥がれ、冬山に行けば指先やら鼻先が凍傷になったりと始終怪我をする私もいろいろと大変だが、指輪を嵌めるだけでこんな目に遭うとは思わなかった。
犬も歩けば棒に当たる。ボルダリングも続ければ指輪も通らず。
結局太めの指輪にして届いてみたら、関節は通るもののその下でころんころん回る。指輪本体が肉で止まっていないので、グラグラしている。シャドーピッチングをしたら飛んでいきそうで不安だ(指輪をしてそんなことをするのはどうかと思うけど)。
かと言って縮める(サイズを加工してくれるらしい)と関節を通らなくなるというのも怖い。さらに通っても外せないというのは余計に怖い。
今日も指輪をころんころんいわせて悩んでいる。