クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

地方マラソンの地域活性は

高知龍馬マラソンに行ってきた。本当は雨で辛かったとか、鰹が美味かったとかそういうことを書こうと思っていたのだが、ちょっと気になったことを一つ書きたい。

 

走っていると、沿道で地元の人が雨なのにずいぶん出て応援してくれる。これはどこのマラソン大会でもわりと恒例になっていて、「ガンバレー!」とか「あと5キロ!」と声を掛けてもらうのは力になる。ただ、時々距離を間違えていて、「あとたったの5キロ!」と言われて、実は7キロあったり(40kmからの2.195を忘れている)、「もう坂はないよ!」と言われた直後に急坂が現れたりして愕然としたりする。

今回、他の大会ではない呼びかけは「頑張れ!東京!」とか「大阪も頑張れ!」というものだ。これはゼッケンにどこから来たのかが書いてあるからで、応援している側も「みんな、頑張れ!」じゃ気が利かないので、そういう呼びかけがわりと多い。

そんな中で、「高知に来てくれてありがとう!」なんていう呼びかけもあった。思い込みかもしれないが、悲痛にすら感じる呼び声だった。

 

国内旅行で行きづらい都道府県は沖縄という橋のつながっていない県と宮崎、高知だ。これらに最短でアプローチするには飛行機に乗る必要がある。行っても県内を動くにはレンタカーが必要になるので、特定の目的がないと行きにくいところだ。大会キャッチコピーも「わざわざ高知で走ろう」となっていて、やや自虐的になっているとも言える。

日本中をトンネルを掘り、橋を架け、空港を作ることで、日本全体を一体化させる。田中角栄日本列島改造論は地方を都市と結びつけることで、地方を発展させ高度経済成長以降の過疎と過密対策となるはずだった。しかし、豈図らんや公共事業によってもたらされたのはさらなる過疎である。巨大公共工事によって産業は育たず地方は自活の道を失った。自活、そして自力での発展のない地域から若者は去るしかない。地方のピカピカは、所詮都会のチカチカでしかない。


高知が正確にはどうかわからない。

ただ、「高知に来てくれてありがとう!」は胸に響いた。都会にいることが幸せか、地方にいることが幸せかはわからない。

ただ、地方マラソンの都市民誘致には、少なからず都会への憧れを感じた。