クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

脚フェチ

真面目な話の後にくだらない想念というか雑念について書いてみたい。

今年の高知龍馬マラソンでかれこれフルマラソンは3回完走した。マラソンを走ったことのない人には「走っている間は退屈でしょう?」と聞かれることがある。おっしゃる通り退屈な時もあるし、退屈とか考える余裕もないほど疲弊している時もある。ただ、今回のように天気も悪くて景色も楽しめないといろいろな考えが去来するのが常となる。

 

走っているときに何を考えているかと言えば、「あの人走り方が変だな」とか「この人は脚がしっかりしている。まだまだ余裕だろうな」とかで、ランナーの品評を行っている。特に女性ランナーは少ないので、どうしても暇つぶしにチラチラ見てしまう。見ると言っても容姿の品評ではなく、もちろんランナーとしてで、走るフォームや脚部の筋肉で色気も何もない。

私のフルマラソン完走タイムは3時間半ばくらい。まあまあ速い方ではあるものの、サブ3(3時間切り)など到底及ばないレベルで、後半はヨレヨレでゴールするのが毎度である。まず大したことない。

ただ。今回は女子の記録は10位で3時間15分だったことからすると、私の周囲にいた女性ランナーはかなりの脚力である。そんな健脚女子を眺めるのは暇つぶしにはもってこいなのだ。

 

今回、高知龍馬マラソンの際はスタート当初から気になる女性がいた。少し茶髪のポニーテールで、背は165cmくらい。顔が小さく、全体が細身。いかにもランナーだ。

スタート当初、彼女が先に出た。ストライドは変わらないものの、走り方に勢いがある。ただ、10kmくらい食らいついていたところで私が抜いた?彼女の脚は上半身と同様に華奢で、パワーは少し足りないようだ。

20km。私がスピードを緩めると、ブルーのTシャツを着た彼女がポニーテールを揺らせて私の前に突如現れた。私が途中で用を足したりしたことを考えてもかなりのスピードだ。

負けないように食らいつく。一概にも言えないが、男子に比べると女子の方がペースに安定感がある。着いて行くなら女子の方がいい。このカッコイイ女子について行けないなら自分のペースが落ちている証拠だ。

そこから十数キロは一緒に走ったと思う。細身で脚が細くてカッコいい。贅肉はなく、余計な筋肉もない。走っていると「お姉ちゃん頑張れ!お兄ちゃんも頑張れ!」と声がかかる。

 

どうも山やランニング中に関係なく他人の脚を見る癖がある。男性は短パンというケースが少ないので、多くの場合は女性ということになる。なんだか変質者のようであるが、いやらしい目ではない(と思う)。

世間では「大根足」とか言って、足が太くなるのを忌避し、モデルさんのように細いのがいいと思っている人が多いようだ。自転車雑誌などにも「自転車に乗りすぎると競輪選手みたいなゴツい脚になってしまいませんか?」という質問投書が常時あって、みんな細い脚に憧れているんだなあと感じることがある。ただ、私に言わせれば現代人の脚は細すぎる。街中はエスカレーターだらけで歩かなくても移動できるし、都内はどこも10分以内に地下鉄の駅がある。単に細くするだけなら簡単だ。

一方でゴツくなるのは難しい。4年前に行った熊野古道小辺路で会ったおばあさんの足腰がすごかったけど、あれくらいになるためには材木や鉄のストーブを担いで小屋を建てるしかない(そのおばあさんは自力で材料を運んで小屋を建てた)。

そういうわけなので、都会では適度に鍛えれば適度な脚になれるというのが私の持論である。そしてマラソン大会の上位組には適度な脚がそろっている。

 

コースは仁淀川の手前を折り返す。

折り返しの手前で私は彼女を抜かし、後ろを気にしながらそのまま走った。折り返していつすれ違うか見ていたら500mくらいは離れていて、かなりペースを落としていた。私より速い女性ランナーはみんなガッチリした下半身なのに対して彼女は少し線が細すぎるようだ。

私はと言うと、そのまま足が攣りそうになりながらも最後まで歩くことなくゴールできた。ただ、これは100%が練習の成果というわけではない。私はその脚に抜かれないように走ったに過ぎない。