クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

42.195kmの旅の終わり~高知マラソン紀行③

前回の続き。

ハーフ地点からコースは太平洋を望む海岸線となる。空が綺麗なら絶景と言えそうだが、この日はあいにくの曇り。

ここからは先の見えないやや単調な道のりとなる。海辺を西進して折り返しが31km付近だから、10kmほどは比較的平坦なコースを黙々と走ることになる。

フルマラソンの楽しみとしてエイドステーションがある。地方大会では各地の名産が出されることが多い。今回の高知では、ゆずジュース、なすゼリー、チョコレート、バナナ、あんぱん・クリームパンなどがあった。

ところがコロナ対策のためか、バナナは1本まるごと、パンは2個入りだった。おそらくスタッフが触れないようにという配慮のためだろう。

しかし、走りながらバナナ1本を食するはきつい。パンは食べきれず1つを手に持って走るランナーが続出したらしい。

私は結局、チョコを3つだけ頂戴し、あとはスポーツドリンクと水、ゆずジュースという水気で乗り切った。

 

コース唯一の折り返しは仁淀川の河口を越えたところにある。

仁淀川は清流で知られる川で、仁淀ブルーなどと呼ばれることもあるらしい。そのブルーを見たいところだったが、やはり薄曇りで鮮やかな色には見えない。

このあたりになると疲労が脚に来ていて、目標はタイムというより走り続けることに変わる。31km、32kmと1kmが徐々に長く感じるようになった。

37kmから海岸から内陸に入り春野運動公園に向かう。「あと少し!」と言われるが、最初の5kmと最後の5kmは大違いなのだ。小柄な女性ランナーがスタスタと脇を抜いていく。

運動公園の前は長い登り坂。この辺で心が折れそうになるが、こういう時に一度歩くと二度と走り出せない。根性論は嫌いなのだが、「あと10分やそこらやろ!最後まで走らんかい!」と自分を叱咤する。

競技場に入るとあと半周ほどのトラックが異常に長く見えた。ただ、ゴールがそこにあるのだ。ややテンションが上がり、最後は1人を抜いてゴールテープを切った。

3時間24分。終わった途端、膝に手をついてしばらく動けなかった。