最近疲れている。
「お前ごときが何を!」と言われれば反論しようがないのだが、こういう時は頑張り過ぎないことが肝心。それと難しいことを考えすぎない方がいい。
のほほんとした気分になれるオススメ本について紹介したい。
①小泉武夫『不味い』
古今東西、人は美味いものを求める。
「美味い」は絶対的正義であり、美味い物の本は溢れている。それに対して、不味い物は美味い物との対比なのにもかかわらず、書かれたことはなかった。
発酵研究家で、自称「味覚人飛行物体」の筆者が不味い物について書いた著作が本書である。
他人が不味い物を食って苦しんでいるのを笑うのもヨシ、「不味いとは」、「美味いとは」という科学的視点でみるもヨシ。
読んでいて疲れない程度の知的読書になる。
②奥田英朗『延長戦に入りました』
この本はほのぼのと笑えるスポーツにまつわるエッセイ集。
スポーツは常に真剣勝負である。そして真剣だからこそ余計に笑えるという部分を孕んでいる。そして、そのスポーツを見る者の視点も時になんとも言えないおかしさを持つことがある。
私が特に面白いなあと思ったのはスポーツとナショナリズムについて。
今でこそ日本と韓国の一戦の際に「宿敵」という冠が付くが、過去は全然意識されていなかった。片方が意識すればするほど、相手とのギャップが大きくておかしくなる。
イチローなんかも日本では「世界一のバッター」となっているが、アメリカではフットボールとバスケットボールの方が人気だし、知らない人が多いだろう。
この手のズレを楽しませてくれる本となっている。
③高野秀行『間違う力』
これは以前にも紹介した気がする。
ノンフィクション作家・高野秀行さんが自分のポリシーとこれまでの活動について書いた本だ。
高野さんの特徴は他人のやらないことをやること。これでは突飛なことで再生数を稼ぐユーチューバーと変わらないのだが、本人は突飛だとか、奇を衒っていると思っていない。むしろ「俺って天才!」と考えていることが多い。
現代の疲れの原因は何だろう。
睡眠不足とか肉体疲労もあるだろうが、固形化した価値観に疲れていることが多い。
努力、合理性、勤勉。時々、読書で価値観を揺さぶってみるのもいいかもしれない。