ここのところ忙しくて何もできていない。「何も」とはテント泊などの屋外泊を指していて、今年は数えてみると8泊しかしていない。これが多いのか少ないのかという議論もあろうけど、年20泊以上していたこともあったので、かなり少ない。
かとうちあき『野宿もん』を読んだら野宿したくなった。
とはいえ私の場合は登山や自転車ツーリングの途中で日が暮れたためにやる野宿であって、野宿を目的に出かけるわけではない。ましてや自然の多いところや人気のないところでテントを張る。
街中でやるなど言語道断なのである。
この本、ほのぼのと野宿をしたエピソードを綴っている。
ところがこの手の本にありがちな、感動エピソードや野宿に対する崇高ね理念など皆無。怪しい人と出会ったり、やさしい人だと思ったらやっぱり怪しかったりと謎の物語をくねくねと描いている。そもそもなぜ女子高生が野宿にハマったのか説明もない。
しかもこの筆者は駅舎やバス停なんかを使って、寝袋から顔だけ出して寝てしまうのである。色とりどりの寝袋は丸見え。しかも街中でお巡りさんに職務質問されたりと、私にはそんな勇気はない。
そんな本を読んでいたら無性に野宿がしたくなった。
野宿の魅力は家がないことである。当たり前である。ただ、人生において一番高い買い物になり得る家なんか不要と世間を嘲笑う行為が野宿なんだと思う。
人生の中でありとあらゆるものをそぎ落としていくと野宿を楽しめる境地に達するのだろうか。
そんなことを書いているけど、私はやはりテントくらいほしいな。できればコンクリートではなく芝生か土の上の方がいい。
贅沢を言っている段階で私はまだまだ野宿を極められていない。