最近、睡眠についてのDVDを見せられた。健康経営の一環だという。
寝るのは好きな方なので制限がなければ8時間くらい寝られる。コロナに伴う在宅勤務で何が嬉しいかと言えば寝る時間が増えることだった。
旅行中も結構寝ている。テント泊は日が暮れるとやることがないので、よりたくさん寝られる。そんなところで寝ることに執着するのは私だけかもしれない。
ところがその睡眠啓蒙DVDによると、特に日本では寝ない自慢が多いらしい。高校時代の試験前も「3時間しか寝てない」という輩がいたので、その延長なのだろう。それに日本人的同調意識が重なるとますます寝ることが罪悪になってしまい、睡眠障害が広がる危険性がある。
世界の統計を見ると日本人、特に女性は睡眠時間が短いという。6時間を切るというデータもある。家事をやって仕事をして、ほっと息をつくと睡眠に回す時間がないのかもしれない。
一方でアメリカ人女性は9時間以上となっていた。これは睡眠時間なのか、ベッドに入っている時間なのかわからない。起きて何かいかがわしいことをしているのかもしれない。ただ、アメリカというのはデータで見る限り睡眠先進国のようだ。
「慶安の御触書」では「夜は藁で草鞋を作るべし」となっていたぐらいだから、貧しければ寝るなという精神が日本人には染みついているのだろう。
一方で海外の人が日本に来て驚くのは電車で寝ている人の多さなんだそうだ。確かに多い。座席に座っている半分はスマートフォンをいじり、半分は寝ていると言っても過言ではない。
治安の良さを反映しているとはいえ、異常とも言える。「眠いなら夜寝ればいいじゃないか」となるか、スペイン人なら「シエスタをすればいいじゃないか」と言うだろう。
私が登山で一番好きなのは、テントで本を読みつつまどろむことだ。早起きをして、身体を動かしているので自然と眠くなる。先日の北岳でも外は寒いので寝袋で本を読んでいたらそのうち寝ていた。
質素なアウトドアで、都会よりはるかに贅沢なのはこういう部分かもしれない。