クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

久住山、霧と吹雪と霧氷を彷徨う〜九州、山と街の温泉旅③

新年を迎えたけど、とりあえず年末山行の続きの話。

 

入山2日目。星空は見えるような見えないような。

久住山に向けて登り始めると小雪が舞いあたりは霧となった。登山者のトレースは昨晩の風で消え、夜に徘徊した動物の足跡だけが付いている。

法華院温泉から少しづつ上がると急に平らな踊り場が広がった。こういう所が一番嫌だ。地面は雪に覆われていて、視界も効かず、迷う可能性大。

なんとなく歩きやすいルートを見極めて進むが、時折現れる岩のどちらに進むかわからなくなる。なんとなく直進すると、膝まで潜る雪に変わり、一度戻ると目印を見つけたり。

気温は-5℃くらいか。手先は冷えるが、寒さは感じない。

久住分かれから久住山へ登る。下から見ると大きな山に見えたが、登ってみると分岐から30分ほどで頂上に着いてしまった。相変わらず展望はない。

 

頂上に着いて、少しすると太陽がようやく雲の向こうから見えた。

少し暖かくなるかと思ったら、また暗くなる。仕方ないので下山を始めたら、登りと反対側、南登山口方面に下ってしまい、再び登り返す羽目になった。

久住分かれにようやく戻り、避難小屋で荷物を整理して手袋を交換。

そこでフリーカメラマンというお兄さんと少しおしゃべりをする。この方、特に山岳カメラマンというわけではなく、先日までは七五三を写真を撮っていたらしい。

それにしても九州に入ってからいろいろな人に話しかけられる。関東の山では話すどころか山でもマスクの人がいて、近寄れない雰囲気なのだ。九州の方が人と人との距離が近い。

久住分かれから牧ノ戸峠方面に下るとたちまち人が増えた。こちらがメインルートらしい。それと同時に雲が切れ始める。これから下山というのがなんとも悔しい。

バスは11時2分予定。

時間に余裕があったので、名残惜しく写真を撮ってからの下山。

登山口で荷物を整理していると、再びおじさんに声をかけられた。

「雪山の訓練とかって何か受けてるの?すごい荷物だね。われわれなんかこの辺を歩くだけだよ」

おじさんは独りでしゃべっていてこちらの話なんか聞いちゃいないのだ。それでもこちらも楽しくなるノリで、このフレンドリーさこそ九州という感じがする。

久しぶりに寒い中で人と温泉の温かい登山ができた気がした。