甲斐駒ヶ岳山行の第一目標、日の出を見るというイベントが終了してしまった。
不思議なもので太陽が上がってしまうと景色は一気に普通になっていく。普通の夏山、普通の南アルプス、普通の岩山なのだ。それはそれで美しいのだけど、朝の神々しい感じは一気になくなってしまう。
登山者という名称があるが、これから下山者にならなくてはならない。
路線バスを使った登山には大いなる問題があって、本数が少ない。午前中の最後は11時7分で、次はなんと14時57分なのだ。日の出からわずか10分。頂上からの下山を開始した。
ガーっと下って5時40分にテント場へ。テントを畳んで6時に再出発。
10時まで竹宇駒ヶ岳神社に着かなくてはならない。そこを仮に過ぎたら尾白の湯で風呂に入ってのんびり帰ろう。日本酒「七賢」の蔵元を覗くのもいいかもしれない。
それはともかく、再びガーっと下る。
この日も日帰りと思しきトレランスタイルの人が多いのに驚く。おそらく近場の人だろう。こういう山が近所にあると、ちょっと散歩という気分で来るのだろうか。恐るべし、山梨県民。
下るほどに当然暑くなる。虫も増える。じっとしていると不快なので、足取りは余計に早くなる。尾白川渓谷に着いたら水浴びでもしたくなる。
結局、駒ヶ岳神社には10時半に着いた。
川遊びしている横で手拭いを出して川の水で体を拭う。着ていたシャツを替え、日焼け止めを塗り直してさらにバス停を目指した。
この日の最高気温は37℃。道の駅ではかき氷に長蛇の列ができていた。
(おわり)