クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

魚は「生」か「焼き」か〜2023北海道食旅③

魚は生が好きだ。これは「海なし県」出身ならではだ。生の方が高級という偏見があるからかもしれない。

焼き魚の味がわかり始めたのは最近になってからだ。

 

内陸の阿寒湖から港町・釧路に降り立ったわれわれは魚を食べに行った。

釧路港の近くに「シャケ番屋」という店がある。マルア阿部商店という水産会社の直営店で、歴史のある炉端焼きの店だ。2年前に来た時はすでにランチ営業を終了していて、食い損ねた。

そこで今回は釧路に着くやホテルに荷物を置き、雨の中向かった。シャケ番屋2年越しに、いざ。

入ると発券機があって、炉端焼きか丼のみかを選択するようになっている。妙にシステマティックだが、お盆休みなんかは混み合うのだろう。われわれが行ったのは11時というかなり早い時間だったが、それでも次々と客が入っていた。

入口でお盆を取り、好きな魚や貝を選び、お勘定する。そしてそれを隣のテントに持っていくと、炉端で焼いてくれるという方式だ。

われわれが選んだのは、生ガキ、ホタテ、シシャモ、ホッケ、鮭のハラス、サンマ。

昔は「焼いてしまえば魚の味は同じ」と思っていたのだけど、生でも焼いても鮮度によって当然味は違う。

この炉端は一夜干しの冷凍なんだが、やはり普段食べる干物なんかとは一味違った。どう違うのか、説明しづらいけど、滲み出る脂がサラサラしていて嫌らしさがない。特にハラスなんかは一番脂の乗ったところで、モノによってはしつこい。ただ、この時食べたものは表面はカリリとしていて、中の脂はサラリ。ご飯の進む味なのだ。

いやあ、どう美味かったのか一品一品(というか一匹か)説明したいところだけど、しつこいので割愛する。

「焼き」に新たな可能性を見る炉端焼きだった。

そんなことを書きつつ最終日は居酒屋で八角の刺身なんかを頂戴した。ただの白身に見えて上品な脂がこれまた美味い。

「生」と「焼き」。これだから北海道の旅はやめられないのだ。