クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

諦めて楽になること

将棋名人戦は藤井名人の連覇となった。

現代の天才という意味で、日本では大谷翔平とともにしょっちゅう取り上げられ、モンテッソーリ教育も一時話題になった。

しかし、世の多くの親が忘れてないかなと思うのは、こういった「天才」たちもいろいろ諦めていることがあるということだ。件の藤井聡太の学歴は高校中退。つまり中学卒業が最終となる。

スポーツや芸事の世界だと高校卒業こそエリートであり、大学や社会人を経た人は「遅咲き」と言われる。それは一つを究める一方で、もう一つを諦めたということには違いない。

山中でよく迷うのは高山より低山だったりする。私はよく登山口や取付きを見つけるのに迷う。

特に林道や作業道が入り組むとわけがわからない。道のないところでは開き直って、一定の方角を目指すわけだが、なまじいろいろな道があるから迷う。

山での道迷いは気持ちの悪いものだが、人生において迷う道は、自分の可能性を示すものだったりするから、どれも魅力的に見えて困ってしまう。

迷わないところまで来ると精神的に楽だ。ただ、これは他の選択肢がなくなったということをも意味しているわけで、諦めることで楽を手に入れたことになる。

 

苦しい十代を過ごした人(私も)は、諦めることを許されず、かと言って自分の可能性も信じられなかったのかなとこの頃思ったりする。